【投稿者:マジ門さん】
私が通う高校では、生徒たちの間で噂になっている男がいます。
その男は60代くらいに見えメガネをかけています。
その男は私の学校の近くの公園に午後4時くらいにいつもいて、私たちに出会うたびに話しかけてきます。
何と話しかけてくるのかと言うと
「我々は宇宙人だ」
と声をかけてくるのです。
それを聞いた私の学校の生徒たちは、その男を女子生徒に話しかけたい変態や頭おかしい人だと思い、ふざけて返事したりしていました。
学校の先生にもその男の存在は知られ、担任の先生から下校の時に不審者がいるようなので注意して家に帰って下さいと警告されました。
しかし皆その男のことをまともに扱っていなかった中、一人だけその男とまともにコミニュケーションをとろうとした生徒がいました。
本名は言えないので、その生徒をAさんと呼ぶことにします。
Aさんは1ヶ月前に徳島県から来た転校生で、内気でおとなしくほとんど人と話さない性格でした。
そして本が好きでいつも本を読んでいる生徒でした。
カバーを本につけていたので何の本を読んでいたのかは分かりません。目立たなく、学校の生徒の間でもほとんど話題にならない地味な生徒でした。
ある時、Aさんとその男は公園で皆が学校から帰ったあと、2人で長い時間話していました。
私は忘れた荷物を取りに夜遅くに学校に行った際に偶然見かけたのです。
その男と話しているAさんの姿を見たときは、普段のAさんとまるで別人のような雰囲気で、目が鋭く輝いていて、独特なオーラがありました。
私はそのAさんの姿を見たとき、あまりにもいつもと違う雰囲気に驚きを隠せず、音を立てないように走って家に帰りました。
家まで走ると1時間かかりますが、そのときは1分くらいに感じました。
翌日、私はとても気になっていたので、Aさんに昨晩その男と何を話したのか聞いてみました。
ただ、
「教えなくないです」
と返事をされました。
そのときのAさんはいつものAさんに戻っていました。
私は何か言葉では言い表せないような不思議な気持ちに襲われました。
その日の夜は眠れませんでした。
何か、自分がもっていた思い込みでできた安心感が崩れてしまいそうだったからです。
しかしその後、月日を経ていくうちにその事を忘れていきました。
ところがその事をまた思い出させる衝撃的な出来事が半年後起こりました。
学校近くの、その男がいつもいた公園の地下で”銅鐸(どうたく|弥生時代に製造された釣鐘型の青銅器のこと)”が大量に発見されたのです。
誰かが遊具の工事でたまたま穴を掘っていたら見つかったそうです。
その公園は瞬く間にニュースで報道され研究の対象になり一般人は立ち入り禁止になりました。(この件はメディアでもそこそこ大きく報道されましたので調べれば出てくると思います)
その男も二度と公園で見かけることはなくなり、二度と会うことがありませんでした。
さらに重要な出来事があって、その”銅鐸”が発見された直後にAさんが転校したことです。
私にとってはなんとも言えない、消化不良な出来事として強烈に記憶に残っているのです。
すべてが謎で、真実は闇の中です。
ですが、『おかしな男』、『Aさん』、『銅鐸』、これらが単なる偶然の繋がりとは到底思えません。
あの男は、本当に単に頭のおかしな人だったのか。
Aさんは、熱心にあの男と何を話し込んでいたのか。
公園の秘密に、あの男とAさんが深く関わっていることは、間違いないと思います。