【投稿者:アンヘルさん】
地元N県の田舎に住む小生が20代の頃に体験した話です。
ある暑い夏の日の午後、散歩がてらに近所の裏道を歩いていました。
住宅もぽつりぽつりと点在していて、裏道の両脇には草が生い茂ったなんの変哲もない道ですが、ある時から雨上がりで晴れている時は、そこは通らない方がいいと言われていました。
暇つぶしに、そんなことを気にしないで歩いていました。
その道はアルファベットのL字型にまっすぐ行くと突き当たりが左にカーブしているのです。
左に曲がり、真っ直ぐ進むと、前方からKさんという頑固なおじいさんが、タバコを蒸しながら、自転車をこいで向かってきました。
大工上がりの親方気質の方で、挨拶などにはうるさい方でしたから、一応挨拶をしないとと思い、こんにちは、と声をかけて頭を下げましたが、無言で通り過ぎていきました。
まあ、こんなもんだろうとやりすごそうとしたら、目の前にあるKさんの家に花輪が飾ってありました。
そこにはKさんの告別式の案内が玄関に貼ってあるではありませんか。
驚いて後ろを振り返ると誰もいなくて、タバコの匂いだけが漂っていました。
後で聞くところによると、Kさんは自転車に乗っていたところ車にはねられて亡くなったとのことでした。
もしかして、自分が亡くなったことに気付いていなかったのかもしれません。
また、それからしばらくして、その道を逆に自宅へ向かうのに歩いていたことがありました。
午後の3時過ぎくらいでしょうか。もう少しで秋がやってくるという時期でした。
霧雨ともちがう、細かい粒子がパラパラと周りに降っているのに、空はぼんやりと晴れているという異様な雰囲気がしました。
前方におかっぱ頭の女の子が歩いているのが分かりました。
しばらくして例のL字に曲がる角を曲がるのを見て、私も後を追いかけるように曲がりましたら、そこには誰もいませんでした。
繰り返しになりますが、隠れられるような家はなく、草木が伸びまくっているだけの道です。
不思議なことが起きる際には異様な空気が存在するとは聞いていましたが、やはり何かが潜んでいる場所はそれなりにあるようです。