【投稿者:renさん】
小学校低学年の時、友達の家に遊びに行くと不思議な体験をすることが多くありました。
その友達の家は団地で、空き家も多くありました。
友達の家も両隣が空き家となっていて、遊びに行っても騒げるのがお気に入りでよく集まっていたのですが、ある日友達の家でゆっくりと漫画を読んでいるとどこからかボソボソっと声が聞こえてきました。
耳をすませると、男の子の声で「開けて……開けて」と言っているような感じがして友達に「声がする」と言うとその友達はとても驚いた顔をしました。
「聞こえるの?ママもパパも聞こえないって言うの」と、その声は友達にしか聞こえないらしいのです。
隣には誰もいないはずなのに、一度聞こえ出したその声は友達の家にいる間、ずっと「開けて、開けて」と訴えていて、私は思わず「誰かいるの?」とどこかに向かって返事をしてしまいました。
しかし、その声は私の言葉が聞こえないかのように、開けて開けてと繰り返すだけ。
不思議だったのは、その声を聞いても少しも怖いと思わなかったことです。
怖さがないですし、その友達の家にはほぼ毎日のように遊びに行っていました。その度に「開けて」という声が聞こえてくるのですが、始めこそは声をかけていたものの、返答がないその声をひとつの雑音のような感覚で聞くようになっていました。
そんな日々が続いたある日、私は夜中にふと目を覚ましてしまいました。
(あ、まただ)目が覚めた私はそう思いました。体がぐっと押さえつけられている感覚。そう、金縛りにあってしまったのです。
この頃の私はよく金縛りにあっていたので、まただという感覚しかなかったのですが、その日は違いました。
静かな部屋にボソボソっと話し声が聞こえてきて、それはだんだんと大きくなり、「開けて、開けて!」と友達の家で聞こえてきた声に変わっていったのです。
金縛りの中で聞く声は悲壮感に満ちていてとっさに私は
(殺されちゃう!?)
と思い、必死に金縛りを解こうとしたものの、なかなか解けません。
すると、足にズドンと衝撃を感じ視線を向けると、足元に煙のようなものが見え
(火事?!)
と更に焦り始めました。
しかし、その煙はだんだんと塊のようになっていき、人の体のような形となり、人形のような煙は私の足をぐっとつかみ、そこから這い上がるように徐々に徐々に近づいてくるではありませんか!
(助けて、助けて!)
そう心の中で何度も念じると、同じように「開けて、開けて!」と男の子の声が聞こえ、その煙は私の顔を覆い始めたのです。
(もうダメだ!!)
とグッと目を閉じた瞬間、金縛りが解け、目を開けると煙はなくなっていました。
再び静かな部屋に戻っていたものの、私は恐怖で母の元に行き一緒に寝てもらい、その後は何事もなく朝を迎えたのです。
次の日、学校で友達にこのことを話さなきゃと思っていると、その友達の方から「昨日変なことが起きた!」と言われました。
話を聞くと、私が体験したことと同じことを友達も体験していたのです。
友達は親に話して、管理会社の人に隣の空き家を調べてもらったようなのですが、当然ですが子供などはいません。
このことをきっかけにその友達の家には行かなくなってしまいました。
友達の話では、その日以来声は聞こえていないようです。
あの団地で大きな事件があったということも聞いていないので事故物件というわけではないようです。
ここからは私の推測になるのですが、あの男の子は、この建物のどこに閉じこめられていた(親からの体罰?)のではないでしょうか。
そして何かが理由で死んでしまった。
同じ子供なら助けてくれると考え、子供にしか聞こえない声で助けを求め続けていたのではないか。
そう思えてなりません。
その男の子が無事に成仏することを願うばかりです。