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【ゾッとする話】背乗り一家

FM都市伝説

【投稿者:パピコさん】

これは、父が友人から聞いた話を、私が又聞きしたものです。そのため、真偽は定かではありません。

1980年代、父の友人Aは、海が近いある県のアパートに住んでいました。そこは、Aが務める職場の近くにあり、他にも何人かの同僚が、同じアパートに住んでいました。

ある日、職場に、元自衛官だという男Bが入社してきました。男は、取り立てて顔がいいなどといったことはありませんが、快活で、爽やかで人を引き付ける魅力がありました。Aも、自分が女性であったら、好きになっていたと感じるほどに。

そんなBですから、職場の人間ともすぐに打ち解け、まるで以前から私たちの仲間であったかのように、馴染んでいました。

Bは、既婚者で、私たちのようにアパートには住んでおらず、一軒家に住んでいました。季節は冬であったでしょうか。ある時、同僚たちとAとで、Bの家に行ってみたいという話になりました。Bの奥さん、そして1人いるという子供に会いたいと思ったのです。

Bにその旨を尋ねると、快諾してくれました。そして、仕事が休みの日曜日、同僚2人と、AとでBの家を訪れました。

Bの家はそこまで大きいわけでもなく、こういっては何ですが、所々ガタが来ているようでした。しかし、中は奇麗にしてあり、奥さんも、子供もBに似て快活で、とても気持ちの良い人たちでした。

みんなで奥さんの作った料理を食べ、職場での失敗談などを話し、笑いあいました。お酒も入り、皆気分がよくなり、そろそろお開きにしようかというとき、Aは尿意を覚えました。

奥さんにトイレの場所を聞き、1人で向かいます。用を足して手を洗い、再び皆がいるところに帰ろうというとき、ふと、物置のような場所が目につきました。そこは、たくさんのもので溢れており、意外と自分たちが来るからと、急いで片付けたのかななどと考えて、少しおかしくなったのですが、そこで奇妙なものを見つけました。

それは、家族写真です。それだけならば、何もおかしくはないのですが、問題は、それに写っている人物です。Bの子供は男の子のはずなのに、写真には女の子が写っていました。さらに、その子供の親である夫婦の顔も、Bと、奥さんの顔とは違います。

す。Bの親の世代の写真?それにしては新しすぎます。整形したのか?いや、だったらもっと鼻筋を高くするなど、見た目がよくなるようにするでしょう。Bの顔は、先ほど書いたように、特にどうということもない、普通の顔です。そういえば、家も、まだ若いB達にしては、何だか不相応に古めかしいような…。

何だか気味が悪くなりながら、皆のもとに戻り、冗談めかして、Bに家族写真のことについて尋ねました。すると、Bは一瞬真顔になったあとで、いつもの快活な笑顔に戻り、それは友人のものを譲り受けたのだと話しました。

そのときはこちらも笑って受け流し、同僚と共にアパートに帰りましたが、いくら友人でも、家族写真を受け取ることはあまりしないでしょう。何だか余計に不信感が募りました。

その後、Bは半年もしないうちに、私たちの職場からいなくなりました。異動であるとのことですが、私たちの職場は、そんなに異動が多い職種ではありません。それに、半年もしないうちにというのは、あまりにも短すぎます。

それから、Bとは勿論会うことはなくなり、少しづつ忘れていきました。思い出したのは、それからかなりの年月が経った後のことでした。日本で某国の拉致問題が、話題になった時です。Aの身の回りでも、拉致についての噂話が増え、そこでこんな話を耳にしました。某国では、家族ごと拉致した後に、その家を乗っ取り、いわゆる背乗りをしているという話です。その話を聞いて、Bと、その家族のことが頭に浮かんだのです。

もしかしたら、あの一家も日本人の家族と入れ替わっていたのでは…。

友人は、背筋がきゅっと冷たくなるのを感じたということです。