皆さん、『バーミューダ・トライアングル』をご存じでしょうか?
・アメリカ合衆国・フロリダ半島の先端
・バーミューダ諸島
・プエルトリコ
この三地点を結んだ、大西洋上の大きな三角海域のことをこう呼びます。
バハマなどの有名リゾート地が含まれているため、太陽の光がキラキラ!南の海!ココナッツカクテルくださーい!…そんな楽園的イメージが浮かびますが、実は「魔のトライアングル海域」として、長年恐れられてきました。
というのも、この海域を航行する船、さらには上空を通過する飛行機が、たびたび失踪してしまう事で有名なのです。実際に記録に残っているだけでも、なんと300件以上の事故や行方不明があると言われています。
パイロットや船乗り、乗客たちは、一体どこへ行ってしまったのか?どうしてこの海域で、これだけ多くの事故が発生するのか?
今回は世界最恐の危険海域である、『バーミューダ・トライアングル』の謎に迫ります!
新世界の冒険者たちも真っ青…!伝説の「魔の海域」とは?
まずは、バーミューダ・トライアングルがどこにあるのか、地図帳を開いて見てみましょう。
アメリカ合衆国の東海岸、フロリダ半島とマイアミ市はすぐに見当がつくと思います。そこから北東に行ったところ、海のど真ん中という位置に、イギリス領バーミューダ諸島があります。バーミューダ諸島からさらに南下すると、米国自治連邦区のプエルトリコ島があります。マイアミ、バーミューダ、プエルトリコを結んだ海域が、魔の海域バーミューダ・トライアングルです。日本の本州がすっぽり入ってしまうサイズなので、かなり広大な三角形ですね。
位置を確認したところで、さっそく代表的な失踪事件の数々を見ていきましょう。
1)フライト19事件(1945)
日本の無条件降伏により、太平洋戦争が終結した直後の1945年12月。
フロリダ半島の基地からバハマ方面にむけて、いつも通りの訓練飛行に出発したアメリカ海軍の戦闘機五機が、行方不明になりました。
はじめは、目印のほとんどない海上で単に迷子になったようですが、どうも様子がおかしいのです。
やがて基地との通信が次第にとぎれとぎれになる中、
「方向がわからない…」
「コンパスが故障した…」
と、パイロットたちの無線が悲痛さを増していきます。
最後に、「白い水に突入」という意味不明な無線を残して、通信は途絶えてしまいました。
この事態を受け、救助に向かった飛行艇もまた、バーミューダ海域に入ったところで消息を絶ってしまうのです。
民間の飛行機ではなく、ベテラン教官に率いられた軍機が消息を絶ったという事で、この事件はマスコミによってセンセーショナルに取り上げられ、バーミューダ・トライアングルが“魔の海域”である事を、世間に印象づけました。
のちにこの事件は「フライト19事件」と呼ばれるようになります。時期としては、次に挙げるサイクロプス号失踪事件の方が早いのですが、バーミューダ・トライアングルで起こる不可解な失踪や遭難事件を紹介する際に、このフライト19事件は最も有名なものとして、筆頭にあげられるようになります。
2)サイクロプス号の失踪(1918)
「フライト19事件」からさかのぼること、27年。
第一次世界大戦終結まぎわの1918年3月、アメリカ海軍に所属する給炭艦サイクロプス号が、ブラジルからの帰路途上、バーミューダ・トライアングル海域内で忽然と姿を消してしまいました。
当時の戦況をふまえ、「ドイツのUボート潜水艦に遭遇して、撃沈されてしまったのに違いない!」と多くの人々が考えました。
ところが終戦後に確認したところ、ドイツ側はそれを否定。
つまり全長165メートル、一万トンの巨大な貨物軍艦が、破片も残さず300人のクルーとともに突如消えてしまっていたのです。
サイクロプス号には無線装置がついていたにも関わらず、SOS信号は傍受されていませんでした。艦内で何らかのトラブルが起こり、暴動や反乱が起きたのではないかとする説もありますが、例えそうであってもSOS信号を発信するくらいは出来たはず。サイクロプス号の失踪ミステリーは依然として解明されていません。
ちなみにサイクロプス号の姉妹艦であるネレウス号も、太平洋戦争中の1941年にバーミューダ海域で失踪しており、やはり発見されていません。
3)コロンブスも異変を感じた?魔の海域
船や飛行機での航行が盛んになるにつれて、バーミューダ・トライアングルでの失踪事件の数は増えていきました。
ところで、このバーミューダ・トライアングルで起こった不思議な事件について、一番古い記録者は誰かというと、実はあのクリストファー・コロンブスなのです。
1492年、大西洋を横断してスペインからバハマ諸島に到達したコロンブスは、バーミューダ・トライアングル海域を通過しました。
この時かれは、方位磁石が妙な動きを見せて方位が判断しづらかった、という体験を書き残しています。コンパスが故障したという点は、フライト19事件と共通していますね。コロンブスの場合、遭難や失踪には至りませんでしたが、彼の残した記録は、人類がバーミューダ・トライアングルでの不可解な現象を認識した、初のケースになりました。
以来、実に500年以上の歳月がたっているわけですが、バーミューダ・トライアングルでの事故や失踪は、現在に至ってもしばしば起こっています。
魔の海域として恐れられているものの、船の航行や飛行機での通過が制限されているという事は全くありません。近い例では、2017年に小型機が失踪し、数名の乗客が全員行方不明となっています。
常識や科学で解明できる?バーミューダ海域の危険性とは
はっきりとした理由がわからないまま、何も残さずに船や飛行機・人間が消えてしまうバーミューダ・トライアングル。
確かに不気味な海域ですが、現象にはきっと何か原因があるはずです。推測される、主な原因仮説を見ていきましょう。
1)単に、そもそも交通の難所である説
バーミューダ・トライアングルで遭難・失踪「事故」が多発する事実を、ごくごく常識的に受けとめようと考えるなら、交通事故の確率で説明できる!という人もいます。
一時間に数百台の車がバリバリ通るような高速道路と、地元住人しか使わない細い田舎道では、どちらの道で多く事故が起こるでしょうか?
客観的に考えれば高速道路の方が、トラブル発生率が高くなるでしょう。
バーミューダ・トライアングルは、ヨーロッパとアメリカを結ぶ海路の途中にあり、船の行き来の多い所なので、航行する船が多ければ多いほど必然的に事故も多い、という考え方です。
さらに、交通量が多い=安全な海域である、とは限りません。
強力なメキシコ海流(ガルフ・ストリーム)の流域にある事や、ハリケーンや濃霧が発生しやすい気象条件を考えれば、バーミューダ・トライアングルはそもそも事故が起きやすい危険海域である、と素直に考えることができます。
ちなみにもう少し北に行ったところ、米国ノースカロライナ州・バージニア州沿岸に、その名も『大西洋の墓場』と呼ばれる海域があります。こちらも寒流と暖流がぶつかっている交通の難所であり、17世紀以降2000隻以上の船が沈没しているそうです。
2)メタン・ハイドレート爆発説
バーミューダ・トライアングルで事故が多発する原因の仮説として、21世紀に入ってから有力な説が提出されました。
天然ガスのひとつであるメタンは、いくつかの条件が重なると、大規模な爆発を起こします。
バーミューダ・トライアングルの海底には、これらメタンが結晶化した状態で大量に蓄積されており、ときおり起こる小・中規模の爆発が、航行中の船舶や上空の航空機に悪影響を及ぼして、事故の原因になっているのではないか、という説です。
これは単に、爆発の力で吹っ飛ばされる!海に吸い込まれる!というだけではありません。
メタンガスが航空機のエンジンに取り込まれると酸欠状態になってしまい、測定機器類も制御不能となりえるのです。さらに、操縦者が上下方向の感覚をなくしてしまう『空間識失調』に陥ると、もはやなすすべはないでしょう。
メタン爆発後の荒ぶる海に飲み込まれて船体・機体は粉々になり、入り乱れる海流によって各方向に運ばれ跡形もなくなってしまう、という事です。自然のなせる業とは言え、非常に恐ろしい現象です!
現在のところ、このメタン・ハイドレート説は、自然現象からバーミューダ・トライアングルの謎を解明するにあたって、いちばん説得力のある説とされています。
オカルト的な原因解明
先ほど自然のなせるわざ、と申しましたが、ここにあえてオカルト的な路線をあてはめてみることもできます。
たしかにメタンハイドレート説は迫力があるし、説得力もあるけれど、本当の本当に自然環境だけのなせるわざなのか…?と。
1)時空のはざま、ブラックホール説
バーミューダ・トライアングルで事故に遭った船や飛行機は、その機体どころか破片すらも全く発見できない、というケースが数多くあります。
この事から、船や飛行機は事故に遭ったのではなく、全く別の場所へ運ばれてしまったのではないか?と考える説が出ました。
つまりこの海域には、別の次元あるいは別の時代に通じるブラックホールのようなものが口をあけていて、飛行機や船はそこに飲み込まれてしまったのではないか、とするものです。
2)宇宙人による誘拐説
高度な技術を持った宇宙人であれば、戦艦級の大きな船を丸ごと誘拐することも可能かもしれません。UFOによる拉致が騒がれた頃、大きく打ち出された説です。
ただ、陸上で拉致された人は後になって帰されている事が多いのに対し、バーミューダ・トライアングルで失踪した場合ほぼ100パーセント帰還できていない、という所が大きく異なります。
3)未確認の、すごい野生生物が住んでいたりして?UMA説
人類は月に行ったり火星に行こうとしたりしていますが、地球上の事をすべて知り尽くしているというわけではありません。特に海底の事情はまだまだ謎が多く、いまだ知られていない、とんでもない生命体がひそんでいる可能性も大いにあります。
北欧の船乗りが恐れていた巨大な怪物「クラーケン」、そのモデルと言われるダイオウイカ級の生物なら、そこそこ大きい船を襲って沈めるくらいはできたかもしれません。バーミューダ・トライアングル海域での生態系研究にも、注目してみたいところです。
4)この世ならざるものが、仲間を呼んでいるのかも…。幽霊船説
事故が起こりやすい交通の難所であり、犠牲者の数が多い事を考えると、その中にはなかなか成仏できずに現世にとどまっている霊も少なくない、と想像できます。
日本の四国・中国地方で言われるところの、「七人みさき」の様な心霊現象が起こっているのでしょうか?場所が場所なだけに、リアル“カリ〇の海賊”の縄張りである可能性もあります。
5)超古代文明の残したセキュリティ・トラップ、アトランティス説
1970年代、バハマ近郊でダイビングをしていた人が、摩訶不思議なクリスタルの巨大ピラミッドを目撃しています。ダイビング中ですから、もちろん水の中です。
海の中にピラミッド…??
『世界の七不思議』の筆頭に数えられ、いまだ明かされていない謎がふんだんに詰まっている、あのピラミッドが…海底に、しかもピカピカ・クリスタルバージョンで存在していると!?
この海中クリスタルピラミッドこそ、この地にかつて栄えていた超古代文明の最終兵器(あるいは気候操作装置か何か)であって、その支配者や住民が絶えた後も作動し続け、侵入者を拒むために爆発やビームや磁気攻撃をしかけているのかもしれません。
これまでに起こった数々の失踪事件は、そのトラップにかかってしまった、ということなのでしょうか。そしてこのピラミッドは、もともと水の中に作られたのか、はたまた陸上にあったものが水没したのでしょうか?
水没した謎の文明と言えば…もちろん、あの伝説のアトランティスです!!
想像の翼のはばたきが止まりませんが、ところで現在は2020年代。ダイバーのピラミッド遭遇からもう50年ほどたっており、その間にいくつかの目撃・発見情報が散発してはいますが、学術的なはっきりした調査報告がなく、一向にその後の消息を聞かないのが気になります。
沖縄・与那国島の海底地形のように、ぜひ調査を進めてもらいたいですね。
また、これは筆者が地図帳をにらんでいて発見した事なのですが。
バーミューダ諸島とフロリダを結ぶ線の延長上には、あのアステカ文明のピラミッド遺構である「チチェンイッツア」「テオティワカン」が。もう一方の、バーミューダ諸島とプエルトリコを結んだ線の延長上には、インカ文明のマチュピチュ、さらに古い時代にさかのぼる、ナスカの地上絵があるのです。
重要遺跡がなんでも直線上に結べてしまうというのは、レイライン錯覚のなせるわざかもしれませんが、少々気になります…。
まとめ
ごくごく常識的な受け止め方から、特徴のある自然環境要因、そして超古代文明のトラップ説まで、バーミューダ・トライアングルにおける事故の多発をめぐっては、様々なとらえ方があります。
海路にせよ、空路にせよ、一般的に旅ではトラブルが起きるもの…という考えが前提にあれば、ごく自然発生的な危険地帯、という風にとらえる事も可能でしょう。
一方で、行方不明となった人々のほとんどが発見されていない、機体・船体の回収もできていないというのは、非常に不思議な現象であり、そこに未解明の要素が詰まっているのもまた事実です。
繰り返しますが、バーミューダ・トライアングルは「危険だから出入り禁止」となっているわけではなく、いま現在も多くの飛行機や船舶がリアルに通行中です。
……実は筆者は、米国経由でカリブ海の某国へ渡航した事があります。
飛行機内でぼんやり『現在地表示』のモニターを見ていたところ、自分がバーミューダ・トライアングル上空を飛んでいるという事に気が付き、プチパニックに陥りました。
窓の外は快晴で、機内は全く揺れず、カリブ美女のCA様がにこにことドリンクを配っています。いたって平和な風景です!
――大丈夫、大丈夫!バーミューダ海域を通ったからと言って、100パーセント失踪するわけではないのだから!
そう内心で呟き続けましたが、しだいに割れるような激しい頭痛を感じ始め、体中に脂汗が噴き出します。
「オウ、あなた真っ青、どうしたの?もうすぐ着くわよ??」
隣席のカリブ熟女のおば様が心配してくれるのですが、…頭の中心がビッグバン状態です、激烈に痛い痛い痛い!
ああ、これって魔の海域に飲み込まれてしまう前兆なのでしょうか!?ブラックホールに突入寸前なのかも、もう絶対絶命…!!
涙がにじみ始めたところで、どこーん!!と衝撃が走りました。ハッ、ついに異世界に来てしまった!?
「着いたわよう~、空港でナース呼ぼうか?」
「・・・」
その瞬間から頭痛は一挙に弱まっていき、飛行機が滑走路を通るガタゴトした感触とともに、魔の海域から逃れられたことを実感しました。
今のは一体何だったんだろう?乗客の中で自分だけが、ブラックホールや異次元に近づいた拒否反応を起こしていたのだろうか?
などと悶々と考え続けていると、おば様がこう聞いてきます。
「アナタ、風邪ひいてるんじゃない?病気だと耳の奥とかメチャ痛くなるわよ、アタシも時々そうよ」
「!そう言えば、旅行直前に中耳炎でした!」
親切なカリブ熟女のおかげで、着陸前の気圧変化の影響を強烈に受けていただけ、とわかった時はかなり安堵したものです…。
というわけで、バーミューダ・トライアングル上空を通過する場合もそうでない場合も、旅行の際には耳栓を持参する事を強くおすすめして、本記事の結びにしたいと思います。
コメントを残す