【投稿者:るかさん】
春は社会人にとって異動の季節ですね。
当時私が働く職場に人事異動でやってきた女性のA主任には、入社した年からお付き合いしている同業の彼氏さんがいました。
しかし突然彼氏さんに振られてしまい、そこからA主任の行き過ぎた言動に少しずつ恐怖を覚えはじめます。
そして最終的には「霊よりも生きている人間のほうが怖いな…」と思わず呟いたエピソードをご紹介します。
私が社会人として入社3年目に突入した頃、人事異動で主任が20代後半の若い女性Aさんに変わりました。
A主任は仕事に関してはとても厳しく、言葉も鋭いので思わず泣いてしまう部下もいました。
その一方で、休み時間中にお話すると彼氏さんのお話を嬉しそうにしたり、入社当初からお世話になっている先輩Bさん(女性)のお話を誇らしそうにする可愛らしい一面もありました。
しかし、3ヶ月ほど経ったころ、それは突然終わりを迎えます。
なんと、A主任は突然彼氏さんから「他に好きな人ができたから別れてほしい」と、一方的に別れを告げられてしまったのです。
A主任は納得できず、何度も話し合いの機会を設けようと電話で迫ったそうですが、あまりのしつこさに着信拒否されてしまったそうです。
A主任は日を追うごとに精神的に不安定になり、顔もやつれていきました。
どうにかA主任を元気付けたいと色々考えるものの良い案が思い浮かばず悩んでいた時でした。
ある日の休み時間、A主任から話し掛けられます。
「昨日、彼の家まで行って車を見てきたの。私はネコのキャラクターが好きで彼の車をネコだらけにしていたんだけど、今はウサギのキャラクターに変わっていたわ。今の彼女はウサギが好きなのね」
A主任は話しながら薄く笑っていました。
思わずゾッとしてしまった私は、相づちを打つことしかできませんでした。
それからも休み時間、毎回報告は続きます。
「彼の家まで行って1時間チャイム鳴らし続けたのに出なかったのよ。酷いでしょ?彼女と一緒だったのかしら」
「彼の会社の前で待ち伏せしたの。だけど気付かれたのか、裏口から帰ったみたい。避けられているのかな?」
「今の彼女はどんな人なのかしら。会ってみたいのだけれど、なかなか会えなくて」
これらの話をする時も、A主任は終始薄く笑っていました。
私はどんどんエスカレートするA主任の言動に恐怖を覚え始めました。
そんな時、救世主が現れます。
A主任の先輩女性、Bさんです。
BさんはA主任を仕事終わりに誘い、傷心のA主任の話を聞いて励ましたそうです。
それからも事あるごとBさんがA主任を励まし続けてくれたそうです。
A主任は少しずつ元気を取り戻していきました。
これで、めでたしめでたし…。
ホッと胸を撫で下ろしていた時でした。
ある日、社内メールでBさんの結婚報告が流れてきました。
Bさんは現在妊娠4ヶ月とのこと。
『急ではありますが3ヶ月後に結婚式を挙げるのでぜひ参加して欲しい』という内容でした。
当然、A主任は知っているものと思ったので「Bさん結婚したんですね。オメデタ婚なんですかね」と聞きました。
A主任はまさかの「初耳…」と…。
もしかしたらBさんは、A主任の状況が状況だったので言いにくかったのかな?と、その時は深く考えませんでした。
それから間もなくして、結婚式の招待状が職場に届きます。
しかし招待状を受け取ったのは部長のみで、A主任には来ていません。
部長が招待状を見た瞬間、慌てた様子で私に近付いてきました。
そして耳元でこう言ったのです。
「Bさんの旦那さん、A主任の元彼なんだけど…」
部長はA主任の元彼氏さんのことを同業で付き合いがあったため知っていました。
私も部長も、このことをA主任に報告することは流石にできませんでした。
「霊よりも生きている人間のほうがよっぽど怖いな…」と思わず呟いてしまったエピソードでした。
《後日談》
A主任はその後、すぐ異動が決まり、移動先で上司と不倫関係になったそうです。
しかし上司の子供を身籠ってしまったため解雇されてしまいました。
やはり精神的におかしくなっていたらしく、周りに自白したため明るみになったそう。その時も薄く笑っていたそうです…。