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【ゾッとする話】正直さの無念を晴らしたいおばあさん

【投稿者:かずさん】

私の家のすぐ近くに、小さな小池があります。
池の周囲は、なだらかな丘陵地帯となっており
草やツルが生い茂り、暗くジメジメとした場所です。
夏の暑い日に通ると、背筋が凍るような冷たさを感じます。
小さい頃からその池には近づかないよう親から注意されていましたが
男の子の私は探検と称してよく遊んでいました。

ある日その小池のそばに古井戸を発見しました。
何の井戸だろうと思い近づくと、古びた御札が貼ってありました。
周囲はうっそうと茂るジャングルで、とても人が住める様子はありません。

以前ここに人が住んでいたのだろうかと思いながら
私は御札を剥がしたくなりました。そして御札に手を伸ばすと
御札はとても冷たく、引き剥がせませんでした。
それから私は小池の古井戸に行っては、御札を眺めていました。
御札に触るとヒンヤリしているので
とても面白く何回も触って遊んでいました。

「誰だそこにいるのは」
突然大きな声がしました。
振り返ると私の両親がそこに居ました。
その古井戸に近づいてはダメだと両親からキツく注意されました。
私はムシャクシャしてしまいました。

それから親の目があるので古井戸には近づけなくなりましたが
とても気になっていました。

ある日両親が買い物に出かけました。
チャンスと思い古井戸に行きました。
すると一人のおばあさんが古井戸の脇で座り込んでいます。

話しかけると何やらブツブツと独り言を話しています。
あまりにも様子がおかしいので、肩をトントンと叩くと
すーっと消えて行きました。私は血相を変えて自宅に戻ろうとすると
そこには両親が居ました。

両親からは、こっぴどく叱られました。
私はなぜあの古井戸に御札が貼ってあったのか尋ねました。
すると両親から
あの場所は何百年も昔、ひとりのおばあさんが住んでいたそうです。
おばあさんの住んでいた丘陵地帯の頂上にお城がありました。
当時は戦国時代で伊達政宗がその城を攻め落とそうと
躍起になっていたようですが、天然の要塞で落なかったようです。

ある日伊達政宗の軍勢が
おばあさんにあの城の弱点は無いのかと尋ねたそうです。
正直者のおばあさんは、私の家の古井戸から丘陵地帯の勾配が緩いので
その場所から攻め込むと良いでしょうと、アドバイスをしたそうです。

伊達政宗の軍勢は古井戸から城へと駆け上がり
難攻不落の城を落としたそうです。
その後どこから知れ渡ったのか分からないのですが
村中におばあさんが城の弱点を密告した為に、城が落ちた事が知れ渡り
おばあさんは吊るし上げられます。

おばあさんは小池脇の古井戸で村人から棒で殴られ亡くなります。

それから古井戸の近くでおばあさんの目撃が相次いだそうです。
真相は分かりませんが正直だったばかりで、殺されてしまい
おばあさんの無念があるのだと思います。

私は両親におばあさんの姿を見た事は話しませんでした。
なぜなら非業の死を遂げた無念さを晴らしたい
思いを感じたからです。

あれから私は大人になり、古井戸と小池を埋める事にしました。
おばあさんの無念さを晴らしたいが為にです。
神主さんにお払いをお願いし、何もない更地にしました。

今はおばあさんの影も形も見られなくなったので
無事に成仏が出来たのかなと思っています。
ちなみに古井戸と小池の事をこの辺では
”ボウフリタ”と呼んでいます。
おそらく棒で殴られたから来ている本当の話です。