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【ぞっとする話】いわくつきの事故物件

【投稿者:メロン沼さん】

マイホームを建てたのは駅が近くて閑静な住宅街で人気のエリアだったのですが、引っ越したときから近所に気になる家がありました。 

そこは、私の住んでいる家からすぐ近くにあり綺麗な洋館のような雰囲気で、私たちが越してきた当初は結婚したばかりの若い夫婦が住んでいました。

だけど、その夫婦はすぐに引っ越していき売りに出されてしまったのです。しかもご近所の人たちが「またか……」と呟いているのを聞いてしまいました。

その家は建てられて10年も経っていないにも関わらず、すでに5組のファミリーがこの家を手放しているとのこと。

この辺りではいわくつきの家だと噂になっていたみたいなんです。

噂は広がり、そんな家を購入したいと思う人は少なくなっていき、どんどん値段が下がっていたみたいなんです。

近所に住む中年夫婦の奥さんであるAさんはそんな呪われた?ような家を見届けていたようで、

「次の人は長く居てくれるといいんだけどねえ」

なんて話をしていました。

なんでも、出ていった人の話ではその家では夜中に声がする、ノックをする音がするけど誰もいない、庭に女の姿があるなどの怪奇な現象が起こると言っていたようなのです。

真相はわからないまま、半年ほどでまた別のファミリーが引っ越してきました。小さな子供がいる若い夫婦で感じのよい家族。

たまたまAさんと話している際に、

「私たちが仲良くなって長く住んでもらえるようにサポートしましょっか」

という話をしました。

と言うのも、Aさんはこれ以上この家に変な噂が流れ、この辺一体の家の値段が下がるののを恐れてということです。

その点では私の家も同様ですから、私はAさんの話を快く引き受けることに。

そして、例の家に引っ越してきたご家族の奥さん(Bさん)と何気ない会話をするうち、次第に仲良くなっていきました。

しばらくすると、Aさんと私はBさんの噂の家に何回か招待されるようになりました。

招待といっても、ただお茶を飲みながらおしゃべりをする程度です。

噂の家はとくに怖い雰囲気もないのですが、ある日Bさんは「この家なんか変なんです」と切り出してきたんです。

Bさんは前の住民が言っていたように、夜中に変な声が聞こえる、誰のものなのかわからない髪の毛が玄関や庭に束になって置いてあるというようなことが起こると話していたのです。

しかも、Bさんは家のなかにゴキブリが出て大変だとも言い出したのです。

この辺りは飲食店などもなくBさんはきれいに掃除をしているのでこの点も不思議でならなかったようです。

そして、Bさんはこの家の中で起きる不気味な出来事を写真や動画におさめていたようで、私達はBさんから庭や玄関に散らばる不気味な髪の毛の写真や暗い部屋のなかで不気味に聞こえる唸り声や笑い声の動画を見せられました。

たしかに、どこからともなく「ううう……」「ふふふふ」などの声が聞こえるような気がしました。

すると、Aさんが「虫が集まる場所って霊が集まりやすいって聞いたことがあるわ」と言い出しました。

なるほど、たしかにそれなら、きれいなこの家に霊があつまるのも一理あるのかもしれませんが、だとするとなぜこんなきれいな家にゴキブリが大量発生するのかが納得できません。

さらにいろいろ話し込んでいると、Aさんは知り合いにお祓いをしてくれる人がいるとのことで、「一度お祓いをしてみたらどう?」と切り出しました。

「知り合いだし、費用は安くできると思うわ」とのこと。

一週間後にお払いに来てもらうことになり、私も立ち会うことになりました。

お祓いをしてくれるのは、普通に見える中年女性。女性は家に入った瞬間にギョッと顔をして、胸を押さえて呼吸を荒くさせて玄関で座り込んでしまい、体をガタガタと震わせ始めたのです。

Aさんは「どうしたんですか?!」と声をかけたのですが、女性は答えられず「うぅぅぅぅ……」と低い声でうなり続けるだけ。

更に「あぁぁぁー!」と悲鳴に似た声を出し始め、頭をかきむしりながら叫び続けたのです。

Aさんに「外に連れ出して!」と言われ、3人がかりで女性を連れ出すと、女性は呼吸を荒くしながらもようやく落ち着いた様子。

「こ、ここは無理!私の力じゃ、人の力ではどうすることもできない!逃げなさい!早く逃げなさい!」と言われ、女性はお祓いせずに帰っていったのです。

Bさんはその様子を見て震え、その夜から更にうなり声がひどくなり、ゴキブリが大量発生。Bさん一家は逃げるように家を飛び出してそのまま引っ越してしまったのです。

一ヶ月も持たなかったのは珍しいとみんなが噂するなか、またしても売りに出される家を見て、誰も買うものはいないのではないかと話していたのですが、すぐに「売却」の看板は取られたのです。

それは、新しい買い手が決まったんだと私は驚きました。あの家にまた誰かが住むなんてちょっと恐ろしいなと……。

Aさんに「あの家を買った人がいるらしい、心配ですね」と声をかけたのですが、Aさんからは空返事のように、「そうねえ」という感じの言葉が返ってきて、私はちょっと違和感を覚えました。

「売却」の看板がはずされてしばらく経っても、例の家に新しい家族はなかなか引っ越してきませんでした。

ただ、例の家の中にAさんが入っていくを何度か見かけることがありました。

(Aさんあんなところでなにしてるんだろう)

その時はそこまで気にしませんでしたが、しばらくして、衝撃の噂を耳にしたのです。

「どうやら、例の家をAさん一家が購入したらしい」

と。

この噂を初めて聞いた際、私は一瞬意味が分からなかったのですが、噂の真相はこうです。

Aさんはもともと例の家を購入したかったようで、ただ価格が高すぎた。

なので、意図的に怪奇現象を演出し、住民を追い出し続けることで事故物件のレッテルが貼られ、次第に価格が下がっていく、というもの。

「そんなまさか」、と私も最初は思いましたが、たしかに例の家の価格は当初の2/3くらに下がっています。

そう。Aさんはあの家が欲しくて、怪奇現象を演出し、ゴキブリを解き放ち、住民を追い出し続けていたのです。

おそらくお祓いのために訪れた女性もAさんが仕掛けたのでしょう。

そんな行為を裏でし続けていたAさんの姿を想像すると、私は衝撃のあまり声がでませんでした。

いつのご時世でもいわくつきの事故物件というものは存在します。そして、その物件は価格が安くなる傾向があります。

そんな事故物件のなかには、人間の手で意図的に作られたものもあるのだそうです。

例の家も、いまではAさん一家が住んでいて、それ以来、怪奇現象の話は聞きません。