【投稿者:峠の体験者さん】
今回は、病院勤務時代の不思議なお話をさせて頂きたく思います。
私の勤務していた病院は、外来、入院もできる、いわゆる老人病院のような施設でした。
現在はおそらく制度は廃止されましたが、療養型病床という形態の病院です。
ですので、必然的にご高齢の方々が多く入院されておりました。
新卒で入職し、ただひたすら業務を覚えるの事が必死な時で、『病院って大変だなぁ』と、つくづく後悔していたのを覚えております。
余談が長くなりすみません。それでは早速・・・・。
病院の当直は規模にもよると思いますが、私の勤務しておりました病院では当直は介護福祉士1人、看護師2人の、計3名で、当直をローテーションで行っておりました。
当直は基本的に、『異常がないか』、を定期で巡視、バイタルチェック、ナースコール対応、オムツ交換などがメインで、そのほかは基本ナースステーションに待機しております。
その日は、特に急変もなく、ナースコールもあまり鳴らず、『静かだねー』なんて、言いながら、待機していました。
私の勤務しておりました病院は仮眠を2時間とれるのですが、深夜の12時に一人目のスタッフが仮眠に入ろうとした時でした・・。
静かな病院内にナースコールが響き渡りました。
ここでナースコールのシステムといいますか、構造をお話させて下さい。
病室からナースコールが押されますと、ブザーと同時にステーションにある部屋番号、氏名が書かれたパネルが点灯し、どの部屋からナースコールが鳴っているのかが、分かるシステムになっています。
話は戻ります。
ナースコールが鳴った為、パネルに一番近いベテランスタッフが、パネルの点灯ボタンを押してブザーを消し、通常ならばインターホンで『どうしましたか?』と声をかけるのが通例です。
しかし、パネルのボタンを押したまま、そのベテランスタッフは固まっています。
私は、『どうしました?』と問いかけてみました。
するとベテランスタッフは『いない・・』とぽつりと呟きました。
即座に私は『え? いないってどういう意味です?』と返しました。
すると、ベテランスタッフは
『いないのよ・・。この部屋・・。誰も・・。 先日〇〇さんがお亡くなりになり空室なのよ・・・・』
とのことでした。
慌てて私もパネルを見ましたが、、ランプはスタッフが消したので確認できずでしたが・・・。
私が、
『とりあえず、空室ならなにか機械トラブルかもしれませんから、明日、師長に連絡しときましょう』
という話で終わらせようとしたその時また、同じ部屋からナースコールが鳴り出したのです。
3人ともその点灯するランプを見ながら固まってしまいました・・・。
とりあえず消音して、インターホンで『だれかいますか?』と聞きました。
その際にインターホンを担当したのは新人の自分です。
インターホンからは、当たり前ですが応答はなく・・・ただ、風切り音のようなものが聞こえているのです。
三人ともお互い無言のまま顔を見合わせます。
そこから、巡視に行くべきか行かないかの話になったのですが、
「もしかしたら、他の病室の方が部屋を間違えて倒れていたら大変」
というベテランスタッフの鶴の一声で、渋々私が巡視に向かう事になりました。
さすがに夜の病院は不気味で、しかも例の件の直後の為、心臓がバクバク脈打つ感じがしたのを今でも覚えております。
例の部屋の前に到着し、念の為ドアをノックします。
コンコン
「どなたかいらっしゃいますか?」
返事はもちろんありません。
「開けますよ?」
と一声かけ、スライド式の扉をゆっくり開けました・・。!
そこには、
もちろん何もなく、ただの空きベッドと床頭台があるだけでした。
ホッとしてそのままステーションに戻り、『やはり誰もいませんでしたよ』と伝えたその瞬間!
まだ、例の部屋からナースコールが鳴り出したのです。
3人とも恐怖の絶頂だったと思います。
3人ともブザーも消さず、固まってましたから・・・。
しばらくして、せきを切った様にベテランスタッフが、『見に行く?』と私に聞いてきました。
(「いやいやいやさっき見たとこですよ!」と言いそうになりましたが)新人の為逆らう事などできません。
正直嫌でたまらなかったのですがもう一度例の病室へ・・。
ですが、やはり病室には何もなく、その日の当直は定期的に例の部屋からナースコールがなるという症状が続き、3人とも怖さのあまり仮眠を一切することもできずに、朝を迎えました。
朝礼の際に師長に、おかしなナースコールの件と故障の可能性を伝達して、その日は当直を終えました。
ちなみに数日後、業者にすべてのナースコールの点検を実施してもらうも・・・異常なしとの事でした・・。
あれは一体なんだったのか・・・。本当に怖い体験でした。
後日談ですが、私はその直後に、その病院は退職しました・・・。
本当に怖くなってしまい、当直が精神的にきびしくなってしまったからです。
私は霊的なものは一切信じていないくちだったのですが、いざ自身がそういった体験をしてしまうと、、そいうわけにもいかないものですね。