【ゾッとする話】隣室から聞こえる会話

【投稿者：蓮子さん】

それは、私がまだ30代の頃でした。
友人が海外に行く事になったため、彼女の家で留守番をする事になったのです。
1LDKのマンションで、かなり広々としていました。
友人から、熱帯魚の世話や部屋の掃除を任されました。
1週間程度の事なので、これぐらい楽勝だと簡単に考えていたんです。

その日の夜。
ザワザワと声がするんです。
男女合わせて、たぶん3〜4人ぐらいだと思うんです。
何を話しているかまでは聞こえなかったのですが、時折笑い声も聞こえてきて、なんだかとても楽しそうでした。

時計を見れば、夜中の2時を少し過ぎた頃でした。
なんでこんな時間にと、私は注意をしようとしたんです。
でも、ここは友人の部屋。
私が文句を言った事で、友人が住みづらくなってしまっては大変と思い我慢しました。
結局、話し声は1時間ぐらいでおさまりました。
その話し声の事は、そんなに気にはなりませんでした。

が、翌日も更にその翌日も話し声がしてくるんです。
それも必ず夜中の2時からです。
おまけに、人数は日に日に増えていくんです。
最初は3〜4人ぐらいだったのですが、だんだん増えていくんです。
10人以上はいるように私には思いました。
話し声のようで、笑い声や泣き声にも聞こえてくるんです。
壁に耳を当ててはみるんですが、何を言っているかまではわかりません。

でも、ある日。
不思議な事に気がついたんです。
普通、夜中に人が出入りをしたら、ドアの開閉の音や靴音などが聞こえてくるはずなんです。
ところが、話し声以外は何も聞こえないんです。
なんだか、ひどく気味が悪くなってしまい眠れない夜が続きました。

数日後。
私は帰ってきた友人に、隣室の声について話しました。
友人は、ゲラゲラ笑って相手にしてくれないのです。

「そんな事があるわけない」
と言われて、私は毎日のように悩まされたのだと言いました。
それでも友人は取り合ってくれません。
なぜかというと、隣は空き室だと言うんです。

「2年前からずっと空き家だよ」
そう言われて、私はそんな訳ないと思いました。
だって、確かに話し声がしたんです。
それなのに、誰もいないなんて。
そんな事ある
わけないんです。

ですが、その後でネット検索をしてみたら、確かに空き室になっていました。
友人が言うには、数年前までは高齢の男性が一人暮らしをしていたそうです。
ですが、体調を崩して部屋を引き払ったそうです。

じゃあ、私が聞いたあの声は何だったのでしょう。
今でも思い出すとゾッとします。