【投稿者:峠の体験者さん】
これは、私が22歳くらいの時の話です。
親友が新車を購入したとの事で、友達3人で深夜のドライブに行こう!と連絡があり、出向きました。
メンバーは、運転手、友人T(男)、後部座席に、友人H(女)、私、の構成で、田舎の廃れた市街地をドライブすることに。
季節はちょうど今頃の、真夏の時期。
田舎の為夜は涼しく、窓を全開にして3人で騒ぎながらドライブを楽しんでおりました。
しばらくするとみんなドライブに飽きてきたようで、
『何か面白い事ないかなぁ?』と誰かが言うと、Hが『たしかに、見慣れた風景だし・・・飽きてきたね・・』との事で、運転手Tが、じゃぁ、『峠でも行ってそこで休憩がてら目的地を考えるか?』
との声が。
TとH、2人は賛同しましたが、私は非常に嫌な予感がしました・・。峠ってまさか・・。?
私は気になって2人に確認してみました。
私『峠ってまさか・・・阿母峠(あぼんとうげ)?』
TとHは『もちろん!』
T『あそこ出るって有名だしなw』
嫌な予感が的中でした・・。実はその峠、私は1年程前に非常に怖い思いをした峠だったのです・・・。
私『いや・・・。あそこはやめようよ?』
TとH『なんで?』
との事でしたので、私がその峠で体験した恐怖体験を説明することに。(これは、また、別のお話)
すると、Tが『おもしろいじゃんw。』『いってみようぜ?』
頑なに拒否する私をよそ目に、霊山として地元では知っている人は知っている麓をぐるっと半周する形で、人気のまったく無い峠に向かい始めました・・・。
私はそこで恐ろしい体験をしているので本当に行きたくありませんでした。
それをよそ目に、車はぐんぐん峠を登って行きます。
Hが『めっちゃ涼しいね!』等と、はしゃぐ傍ら、私には恐怖しかありませんでした・・・。
峠を無事登りきり、下りに差し掛かり、しばらくは直線の道に入ったその時です!
(私はあまりに怖かったため、うつむき加減であまり外は見ないようにしていました)
すると、Tが『ん?あれ人?』
Hも『あれ白い服着た女の人じゃん?』
時間は、深夜1時を過ぎていたと思います。
昼間でも人なんて歩いているのをほぼ見ることのないこの峠で、深夜の1時すぎの遅い時間に、まともな人が歩いているわけがないと思いました。
恐る恐る、私も顔を上げて見てみると、確かに白い服を着た女性が左歩道を歩いています。
周囲に建物はあるものの、全てが廃墟で、周囲には人家はありません。
TとHは大興奮で『あれ、人だよね?』『幽霊じゃね?』とはしゃいでいました。
車はスピードを落とし、じょじょに徐行速度に・・・・。
Tが『人かどうか見てみようぜ?』
だんだん、ゆっくりとその人影に近づく車・・・。
(ちなみに歩いている人は左歩道でしたので、車はその人を背中から追い越していく状況です)
その人影とすれ違うタイミング、Hが『ひゃっ!』みたいな、聞いた事のない奇声を出しました。
車はその白い服を着た女性から30mくらい通り過ぎた所で、Tが車を停車させました。
私『もういいから!行って!行って! 止まるなって!』
T『やっぱ確かめてくる…。』『人だったらとりあえず、話かけてみるよ』と、運転席から降り、後方へ歩いていきました・・。
私とHは・・・無言・・・。
しばらくすると、Tは戻ってきました。
なんか、首をかしげてました。
そんなTを見て嫌な予感がした私は『とりあえず車出せって!』というと、Tがなにやらぶつぶつ言いながら、車を発進させました。
Tの、すこし奇妙な反応を察したのか、車内はしばらく無言の状態で、ようやく峠を下りきったところにあるコンビニに停車しました。
するとTが、
T『いなかったんだよね……。』と言います。
私『なにが?』
私は意味が解らず、そう返したと思います。
T『いやさ、、、車降りて、後ろ見たらいなかったんだよね……。』
T『まっくらだから、さっきの女性がいた付近まで歩いて行ったんだけどさぁ、いなかったんだよね……。』
その話を聞いて、Hが顔面蒼白になっていましたので、気になって声をかけます。
私『H大丈夫か?』
H『うん・・・。あのさぁ、、私、すれ違う瞬間、髪の長ーいぼさぼさ髪の白い服の女をみたかも・・・。』『あれ、絶対おかしいよ』『はっきり見えたから、人だと思うけどだけど、正直よく分からくて……。』
Tが、『顔みた?顔。どんな顔だった?』
H『暗かったし、顔までは見れなかった・・』とブルブル震えています。
(ちなみに、Hはこれまで恐怖体験などした事なく、幽霊も全く信じない明るい性格の女性です。)
すると
Tが『いやでも、、。見に行ったんだけどさぁ、まじでいなかったんだって』
と、多少興奮気味に言ってきました。
あれは、果たして人だったのか、幽霊だったのかは、今となっては分かりませんが、以前私はそこの峠で恐ろしい体験をしていたので、幽霊だったんじゃないかなと思ってはいます。
ただ3人とも、はっきりと車内から、前方に白い服を着た左歩道を歩く女を同時に見ているので、やはり、人だったのかなぁ?
事の真相は謎のままです。
それ以降、二度とその峠には近づくまい…。と心から思いました。
鹿児島県にある阿母峠(あぼんとうげ)、みなさんもくれぐれもご注意下さい。