【投稿者:ミカエルさん】
私は大学生の頃、病院の夜間受付のバイトをしていました。
そのバイトは夕方5時~朝8時まで病院にいるだけで1日1万円貰えるうえ、夕食も病院食ではありますが食べることが出来るという好条件のバイトでした。
また病院自体は3階建ての中規模病院であったため、忙しくなることはほとんどなく勉強したりテレビをみたり、ネットサーフィンしながら時間をつぶすことが出来ました。
テスト前などは勉強しながらお金が貰えるということもあって、バイトシフトの争奪戦が起きるくらいでした。
とある夏の雨の日のことです。
私はバイトに入り、本を読みながら受付に座っていました。
職員さんは少しずつ帰っていき、最後の職員は19時に事務室から姿を消しました。
職員が帰宅する前はなかなか携帯を見たりすることが出来ないので、「やっと帰った」とほっとし、食堂までご飯を取りに行ってご飯を食べてから待合室のソファーでテレビを見ていました。
その日は緊急で来院される方もおらず、仕事としてはなにもない1日でした。
待合室ではいつも入院患者と一緒に野球を見ていたのですが、その日はなぜか誰も来ず、病院の1階はしんと静まり返っていました。
その後野球も終わり、21時を過ぎたところで夜食に用意していたカップ麺を食べようとまた受付のある事務室に戻りました。
病院の施錠は22時なのであと1時間位あるなーと思い、カップ麺をすすっていた時、玄関の自動扉の開く音が聞こえました。
その病院の扉は2重になっているので、2回開く音が聞こえました。ですが、病院に入ってきたあとの足音が聞こえません。
そこまで聞き耳を立てていたわけではないので、誰か来たんだろうなくらいに思っていました。
そして22時になり、施錠の時間です。
でもさっき入ってきた人出て行ってないなーと思っていたタイミングで、玄関の扉が開く音が聞こえました。
あ、帰ったんだなと思い、誰もいなくなった玄関扉を2枚施錠し、他の扉の見回りいこうとしたその時、玄関扉が「どんどん!」と鳴り出しました。
まるで誰かが叩いているような・・でも、そこには誰もいないのです。
そういえばと思い出したのですが、玄関扉が開く音は1回しか聞こえていなかったのです。
「何か」は玄関の2重扉の間で(私が鍵を閉めたため)身動きが出来なくなってしまったのではないか?そんな考えが一瞬頭をよぎりました。
「そんなまさか」と思いつつも、私は、恐る恐る再度玄関の鍵を開けてみることにしました。
すると誰もいないところから
「悪いね兄ちゃん」
とかすかに囁やくような声が聞こえたのです。
これが私の恐怖体験です。