【投稿者:M.Kさん】
フレネミーという言葉を聞いたことはありませんか?
フレンドとエネミーを合わせた造語で、友達を装う敵のことを意味します。
言葉だけは知っていましたが、自分の側にそんな人はいないと思ってたんです。
ですが、いたんです。
私の側にもフレネミーが。
その人は、小学校からの友人のF子で、私にとってはまさに親友と言ってもいい人物です。
就職をきっかけに離れてしまいましたが、手紙や電話でずっとやり取りは続いていて、いつも互いを励ましていました。
離れてから20年以上たち、F子が戻ってくることになったのです。
シングルマザーとなった彼女は、実家へと帰ってくることになったのです。
年齢を重ねても、F子は学生時代と同じように、明るくて優しく、毎日のように私はF子の家に遊びに行きました。
話題は、高校時代にまで遡り、懐かしさから卒業アルバム見ることになったのです。
そこには、私がかつて交際していたRくんの姿も。
「なんで別れたの?」
F子に聞かれて、私は苦い思い出に眉を寄せました。
元々、私がずっとRくんのことが好きで、F子が取り持ってくれたのです。
スポーツが得意で、とても真面目で、クラスでも優等生だったRくん。
私みたいな地味なタイプは無理だろうと思っていたので、とても嬉しかったんです。
でも、クラスの人気者であるRくんと交際したことで、私はクラスの女子全員を敵に回してしまったのです。
鞄の中身をひっくり返されてしまい、教科書には落書き。私への誹謗中傷が書かれたビラ。
結果、担任の先生に呼び出され、私とRくんは3ヶ月で別れました。
Rくんと別れたことで、イジメは収まりましたが、嫌な記憶として残っています。
その時のことを話せば、F子が思い出したように、何度も頷きます。
「そういえば、そうだったわね。ひどいわよね、皆。あんなに仲が良かったのに」
F子が、まるで自分のことのように怒ります。
その時、階下からF子を呼ぶ声がします。
「ごめん。母さんが呼んでるわ。ちょっと待ってて」
F子がいない間、卒業アルバムを眺めていたら、ふと古びたノートが目につきました。
懐かしいキャラクターが描かれたそのノートを、悪いと思いながらも見てしまったんです。
それは、F子とRくんの交換日記でした。
そこには、2人が交際していたこと、バレたらイジメられるから、カモフラージュに私を利用したこと。
F子がクラスの女子を誘導して、私をイジメるように仕向けたことが書かれていました。
私は、見てはいけないものを見てしまった気がして、私は慌ててノートを元の場所に戻しました。
ドキドキと心臓が高まります。
親友だと思っていた人が、実は敵だったなんて。
私が動揺を静めていると、F子が戻ってきました。
「お待たせ。どこまで話したっけ?」
F子の笑顔が、いつもとは違って見えたのは気のせいでしょうか。
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