【投稿者:こむたさん】
幼い頃に学校の先生から怖い話を披露してもらったような経験はありませんか?
今の時代は、生徒を怖がらせることが規範的に良くなかったり、そもそも先生が話をすることよりも、日常手にし得るSNSやネットからの情報のほうが何倍も怖かったりするのかもしれませんね。
私が幼少期を過ごした時代では、担任の先生から何かの折に話してもらう怖い話が、テレビを通して観る映像よりも怖かった記憶があります。
もちろん生徒相手なので今から思えば子ども騙しのような内容が多かったのでしょうが、ホームルームの談笑時に語ってくれる怖い話は、下校途中の生徒たちの話題の一つでもあって、とても盛り上がった記憶があります。
その中に一つだけ、わたしにとってあまりにも衝撃的で幼少期に聞いた話にも関わらず鮮明に残っている話があるので、それを今からお伝えします。
穏かで優しい男の先生。
私も含めた生徒たちからとても人気があったので、学年が上がる時に担任変更を聞いた時は、一同が悲しくなり、受け持つ違うクラスのメンバーが羨ましく思ったこともよく覚えています。
確かスキーのインストラクターの資格を持っていて、毎年の冬にはスキーを楽しむために長野や新潟に行くような活発な方でもありました。
ある日のホームルーム。
先生はスキーに出かけた時の、とある民宿での出来事を話してくれました。
友だちと一緒に民宿に宿泊し、スキーを思う存分楽しんだあと、夜に宿主とゆっくり話したというのですが、その内容とは、
この宿によく宿泊をしてくれていた方が、最近病にかかって亡くなられたらしいという話でした。
亡くなられた方と好意にされていたオーナーさんはそのご家族とも親交があり、大変ショックを受けて葬儀への参列を申し出たようですが、ご家族から辞退してほしいと言われたとのこと。
その理由は、お顔を見せられる状況にないと。
亡くなられた方は、原因不明の病で顔じゅうに腫れ物ができ、最後はもはや人の顔を呈していないあらぬ姿で息を引き取られたとの話でした。
そのことを聞いたオーナーさんはあまりに悲しく、その方がご家族と来訪された時に撮影した写真をまだ現像していないものがあったので、思い出として現像に出されたとのことなのですが、出来上がった写真を見て腰を抜かしてしまったと言っていたそうです。
その写真の様子を言葉伝いに聞いた先生は、わたしたち生徒に教壇の黒板に書きながら説明してくれたのですが、
中央にオーナーさんご夫妻。
左に奥さんと息子さん。
右に幼い弟さんとご本人。
そして、
ご本人の隣に、もう一人写っていました。
それは、一人というよりも、顔が腫れ物だらけの老婆のような、奇怪な顔が口を開けてご本人の斜め後ろに写っていたようです。
その様はまさに、ご遺族から伝え聞いたときに、気味の悪い顔になって生き絶えてしまったご本人のそれを感じさせるようなものであったとオーナーさんは話してくれたと、先生は語っていました。
黒板にチョークで描かれた先生の絵があまりに恐ろしく、わたしも他の生徒も恐怖におののき、途中から耳を塞いでいる女の子もいました。
先生も生徒たちも現物の写真を見たわけでもないのに、顔ができものだらけのぼんやりと描かれたその絵がとても現実的に見え、私の目にはっきりとその絵が焼きついてしまいました。
普段から怖い話は聞いていたのに、この話だけは全員の度肝を抜いてしまい、当時の友人たちも記憶しているに違いありません。
これは、後日談なのですが、
わたしの父は、その先生と同様にスキーを嗜み、よく家族で新潟にあるスキー場へ連れて行ってくれて、父の友人が経営している民宿に宿泊することもありました。
その民宿に宿泊したとき、また来年来てくださいねというオーナーさんと別れを惜しんで写真を撮ろうという話になったとき、
私たちの家族がオーナーさんとカメラに向けて並んだその姿は、
先生が黒板に書いたものと全く同じ並び順であると瞬時に悟り、血の気がひいたわたしはカメラに入りたくないと必死で嫌がってことを覚えています。
思い出にとられたその記念写真をその当時も今でも私が見ることはありませんが、
ありがたいことに父が健康である今でさえも、
わたしの目の裏側に見えるその写真には、ひどく気味の悪いその顔が後ろに写っているようにしか見えないのです。
なぜなら、
その写真を撮ってから数年後に、そのオーナーさんが若くして亡くなられたと父から伝え聞かされていたからです。
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