【投稿者:タマさん】
看護師になると病院勤務になるので、最後の旅立ちにたちあうことがあります。
これは、まだ21歳の話です。
その病棟は整形外科の病棟で三次救急でもありませんから、死に繋がることは皆無でした。
ただ別の離れたたてもので入り組んだ迷路の先にある病棟でしたから他の病棟のスタッフとで会うことは皆無で、主に2階で仕事をしておりました。
整形外科なので、意外と元気な人が多く一階のリハビリにいくが患者さんはいても他の階に行く人はいません。
ただ、その棟の地下には霊安室があり他の病棟で亡くなった方は患者さんの目に触れないように地下ルートで運ばれ安置されていました。
ですから、その棟で働いていても、いつ霊安室を使ったかは私達は知りません。
間違って患者さんが迷い込まないように霊安室のある地下へのボタンは特殊な段階を踏まないと地下にはいけません。
その棟で働いている私たちですら、師長の隠し扉の中にあるノートを見ないと、押し方がわからないので、ほとんど気にしてはいませんでした。
ある夜勤の時、夜中の2時に、エレベーターが地下で点滅していることがありました。
どこかで亡くなった人がでたのかね?と一緒に夜勤しているメンバーと話していました。
そのエレベーターは、なぜかその日から、毎日夜中の2時に地下に降りるようになりました。
患者さんなら1階で若い人が眠れなくて集まって話していることもありますが消灯時間以降行くことは禁止されてますからエレベーターを使う人はいません。
夜22時から朝5時半まで使用されることはないのです。
でも、エレベーターは毎日夜中2時に地下へ。
あまり深く考えず省エネで降りるように設定してあるのかもね。
スタッフはそんな風に思っていました。
2ヶ月位、そんなことが続いていたある日、エレベーターのメンテナンスで業者の方が来られる機会がありました。
後輩が「このエレベーター賢いですね。夜使用されない時間になると地下にいくんですね。省エネですよね」と何気なく雑談混じりで会話をすると、
業者さんは「……、そんな、システムないですよ。中から押さない限り、他の階にいけませんから。それに設定するなら看護室のある場所に待機する形といわれていますし……。」
「……え、そうなんですか?ここ毎日、ずっと地下に行くんです。毎日かかさず。うちで亡くなる人はいないので地下がどうなってるかしらないスタッフも多いので省エネ対策で地下にいくんだと
…(震え声)」
毎日、地下に行っていたのは一体誰だったのでしょうか……。
師長はそういったことを気にするタイプの方だったのですぐにお祓いを頼んでくれました。
それからは地下に行くことはなくなりましたが、今思い返しても、もし誰かスタッフが地下に降りるエレベーターにたまたま乗り合わせていたらと思うとゾッとします。
その日以降地下へのボタンは非常ボタンのようにカバーがつき、B1地下一階の表示もわからない仕様になりました。
昼間一階を使う時も嫌な感じはしませんでしたし、地下への非常扉はもう何年も鍵がかかったまま…。
その主だけは遭遇しないまま、私は違う病院にうつることになりました。
今現在、その病院は政策による病床削減の関係で廃病院になってしまったと聞いています。