【投稿者:T.Sさん】
私の友人が体験した話です。
友人は都心の大学に合格しアパートでひとり暮らしをしていました。
アパートは都心の郊外にあったため、周りには住宅街が広がるようなところで、一番近くのコンビニに行くにしても歩いて2、30分はかかりました。
友人が大学に入学しひとり暮らしにも慣れ始めてきた頃にそれは起こりました。
友人が夜にひとりで部屋でゲームをしていると、ドアノブをガチャガチャ回す音が聞こえてきました。
最初は誰か間違っているのかな?程度にして思っておらず、そのうち気づいて帰るだろうと思って放っておきました。
しかし、しばらくしてもドアノブを回す音は収まりません。
それどころかどんどん激しくなっていくような感じです。
友人は、これはちょっとおかしいぞ、と思いドアのノゾキアナから外を見てみると真っ黒でした。
あれ?と思っていると、真っ黒が後ろに引いていき、それは人間でした。
外の人間はドアノブを回しながら外からノゾキアナを見ていたのです。
全体像が見えたのですが、それは同じ年齢くらい(大学生)の男性でした。
その男性が無表情のままひたすらドアノブを回し続けていたのです。
「こいつ、おかしい」。
友人はすぐにそう思ったそうです。
「やめろ!」友人は中から叫びましたが、その男性はいっこうに止める気配がありません。
友人は恐怖を感じ警察に電話しました。
しばらくすると、家のインターホンが鳴り、出てみると警察官でした。
話しを聞いてみると、その男性はこのアパートの住人らしく、よく通報されるとのこと。
「前のこの部屋の人もよく通報していましたよ」とのこと。
何故かこの部屋だけなんだそう。
その後、噂で聞くところによると、その男性は大学生で何が原因かは分からないが精神を病んでしまったとのこと。
たまに帰り道が分からず友人が住む部屋に帰ろうとしてしまう、とのことでした。
友人は「何でこの部屋なんだよ」とうんざりしたようですが、引っ越してきたばかりでまた引っ越しも面倒くさかったのでそのまま部屋に住み続けたそうです。
その後もその男性は来ることはありましたが、友人がアパートの別の部屋に案内をしていたようです。
そんなある日、友人は床に盛大にお酒をこぼしてしまったのです。
友人の部屋は畳だったため畳を取り換えることになってしまいました。
業者に頼むと高そうという単純な理由で自分で取り換えてみようと思い畳を起こしてみると、キャンバスノートがありました。
好奇心で開いてみると中は自画像であの男性が描かれていました。
「めちゃめちゃうまい!」友人はそう思ったそうです。
最初の何ページかは写真のような上手さでびっくりしたそうですが、だんだん絵の描き方が変わってきて、なんというか普通の感覚を持つ人間には描けないような絵になっていった、ということでした。
最後まで見る前に友人は思いました。
「聞いたことがある。精神疾患の人は過去の記憶に依存し、過去の記憶のとおりに行動することがある。」・・・
「俺の部屋にだけ来る・・・ここに住んでいた!?」。
友人はすぐに引っ越したそうです。
その男性がその部屋で何があって精神が壊れていったのか、その部屋に住んでいる自分、普通の考えではない人間が不定期に訪問してくる。。。
様々なことが恐怖として襲ってきてその場にはもう一秒としていられなかった、と言います。
幽霊なんかよりも人間が一番怖いかもしれませんね。