【投稿者：トッポさん】
私はかれこれ10年近く、登山が趣味で登っているのですが、これまで何山も登ってきましたが、一度だけ、自分でも理解の出来ない体験をしました。
その日、私は友達と二人で、いつもより大きな山に挑戦しようと、深夜3時からヘッドライトを付けて登山口から出発しました。夏場だったので、すぐに明るくなり、いつものように会話と景色を楽しみながら登っていきました。
3時間程登ったところに、大きな池があり、そこは登山者の間でも綺麗な池として有名な場所でした。私たちはそこで休憩する予定だったので、ザックをおろし、置いてあったベンチに腰掛け、コーヒーを飲む準備をしていました。
その時です。急に周辺がガスで覆われ、辺りが全く見えなくなったのです。それはとても瞬間的でした。私たちは、この急な天気の変化に追いつけず、慌てていました。すると、ザブン、ザブンと何かが池から出てくるような音がしたのです。それはものすごく大きな音で、巨大な何かが池でうごめいているようなそんな音でした。私たちは周囲が全く見えない状況だったので、その大きな音に恐怖を感じていました。
しばらく音とともに何かの気配があり、どのくらいの時間が経っていたのか覚えていませんが、音が急にしなくなり、徐々にガスが晴れていくのがわかりました。
そこで私たちは見たのです。巨大な龍のような生物が空に昇っていく姿を。ガスではっきりとは見えませんでしたが、確かにその生物は空に昇って行きました。龍は透けているようにも見えました。私たちは、茫然とし、しばらく動けませんでした。まるで夢をみているかのような感覚になり、二人で確かに見えた龍のような生物の確認をしました。友達も私と同じ龍のようなものが見えたと話し、私たちは登山どころではなくなりました。
少しすると、高齢の登山者が登って来たので、私たちは興奮気味に、巨大な龍が空に昇っていった話をしました。すると、その登山者は、池に幻を見せられたんじゃないか、この池の魔力はすさまじいよ、と言いました。
私たちには何が起こっていたのでしょう。あれは現実だったのか、何だったのか。しっかりと見たはずなのに、あまりに現実感のないこの体験は、今誰かに話しても誰も信じてくれません。龍神さまを見たことがある、と言う人の話は聞いたことがありますが、正に私たちが見たのも龍神様だったのでしょうか。
私たちはその後、しばらく登山は行かなくなりましたが、最近また、復活しました。久しぶりにまたあの山を登ってみようかと話になっています。
