僧侶や預言者、そういった宗教や神秘に基づく立場にある人間は、時として大きな権力をもち、歴史に大きな影響を与えてきた。
彼らは国の政治に影響を及ぼすこともあれば、その国の未来すらも予知して導くことさえあるのだ。
だがしかし、絶大な権力を握りながらも最悪の未来を預言し、それを実現させたという点において、グレゴリー・ラスプーチンに勝る人物はいないだろう。
グレゴリー・ラスプーチンとは
彼は19世紀のロシア、当時はまだソビエト連邦すらないロシア帝国と呼ばれていた国に生まれた。
若い頃から神秘的な力があるとされていて、多くの人をその神秘の力を用いることによって救ってきたそうなのだ。
最大の転機となり、絶大な権力を得るきっかけとなったのは、時の皇帝ニコライ二世の皇子を難病からその神秘の力をもって救ったことである。
皇子アレクセイは生まれながらの難病に苦しんでいたのだが、ラスプーチンが祈りを捧げることによってその病気はきれいさっぱりと消えてしまったそうなのだ。
どういった原理かはわからない。しかしそれによって皇帝から気に入られたラスプーチンは、ロシアの皇居の中に入り絶大な権力をふるいだすのであった。
その様はそれこそ皇帝のようであったとされている。
彼は並外れた精力の持ち主で、多くの貴族や皇族の女性たちを虜にしていったそうなのだ。
当然それをよく思わない者たちも多くいた。それまで皇帝ニコライ2世に取り入っていた貴族たちだ。
ラスプーチンが言い放った一つの奇妙な予言
だがそれを知ったラスプーチンは、ニコライ2世に対してある予言じみたことを言ったのである。
もしも自分を殺すのが農民ならばロシア帝国は安泰でしょう。
だがもしも貴族が自分を殺すならば、ロシアの大地に多くの血が流れる事になります。
そしてこの予言は最悪な形で実現してしまうのだ。
貴族たちはラスプーチンの暗殺を決行しそれは成功してしまう。
いわく、青酸カリウムという毒を入れた菓子を食わせても彼は死なず、鉄の燭台で頭蓋骨を砕いても死なず、銃弾を撃ち込みリンチにかけても死なず、簀巻きにして凍った川に頭から突っ込んで三日後にようやく死んだそうなのだ。
驚くべきことにその時の死因も溺死であり、死を確認する直前まで生きていたそうなのだ。
不死身の怪僧ラスプーチン、この異名はその恐るべき伝説から来ている。
そして、ラスプーチンの予言は的中する
だが、彼の残した予言はさらに恐ろしい事態を引き起こしてしまった。
彼の死後まもなく、ロシア革命が勃発、ロシア帝国は崩壊してしまう。
それによって引き起こされたロシア内戦と、勝者となったソビエト連邦が行った粛清によって2000万人ではとても足りないほどの人間が、ロシアの大地で死んだのである。
歴史にもしもは存在しない。だがもしも、予言通りに農民がラスプーチンを殺していたとして、どのような未来が待ち受けていたのだろうか・・・・
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