【投稿者:A・Iさん】
これは私が小さい頃のお話です。
母から聞いた話なのですが、私は幼い頃から他の人には視えないようなものが度々視えていて気味が悪いと思っていたようなのです。
当時、私が4歳くらいでしたでしょうか。
母と父と、とあるアパートで暮らしていました。
母は専業主婦で昼間は私と二人きりなので、私を外で遊ばせるために近所にある神社の小さな公園に度々連れて行ってくれていたそうです。
公園までに行く間には住宅街を通っていくのですが、ある一軒家の前を通る度に決まって私が立ち止まるそうです。そして私はこのように言うそうです。
「おばあさんが座っているの。ずっとこっちを見ている。」
母が見渡してもあたりにはおばあさんなんて居ません。
母は気味が悪いと思いながらもその家がある道を通らなければ公園には行けないので、私を公園で遊ばせるためには避けられない道だったのです。
何回その家の前を通っても、私が居るはずのないおばあさんが居るというので、お母さんはご近所の方に聞いてみたそうです。
「あの家におばさんは住んでいますか?」
そうするとご近所の方はこういいました。
「あの家にはいつも縁側に座って日向ぼっこをしているおばあさんがいたよ。でももうだいぶ前に亡くなっているから今は誰も居ないはずよ。」
お母さんは察しました。この子(私)には人には視えないようなものが視えているのだと。
そこからはお母さんもあまり気にしないようにしていたそうです。
ですがこれはほんの序章に過ぎません。
私が視えていたのは、おばあさんだけではなかったそうです。
住宅街を通って長い階段をのぼるとそこには神社があり、そこの敷地には小さく古い公園がありました。
その公園に行くと、私は時折、火が付いたように泣き出し手が付けられなくなることがあったそうです。
4歳くらいですから急に泣き出すことなんてめずらしいことではありませんし、最初は母もあまり気にしなかったそうです。
ただ、楽しそうに遊んでいるのに急に泣き出すのを不思議に思った母が、ある時聞いたそうです。
「○○ちゃん、何か視えてるの?」
すると私はこう答えたそうです。
「木の後ろに大きい男の人が立っていてずっとこっちを睨んでいるの」
それを聞いた母がその木の後ろに行くと……そこには誰かの小さなお墓がひっそりとあったんだそうです。
気味悪がった母はそれ以後、その公園には行かなくなったそうです。
いまだに、男の人の正体は不明のままです。