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【奇妙な話】謎の咳払い

FM都市伝説

【投稿者:M.Kさん】

ある日。父がリサイクルショップから全自動洗濯機を買ってきました。型は少し古いのですが、あまり使われた形跡もなく、7,000円とかなりお手頃な金額でした。

我が家の洗濯機は、二層式で使い込んでいたため、かなり限界だったのです。でも、中古の電化製品を使ったことがなかったので、正直不安だったんです。聞けば説明書もないということ。

知り合いの電気屋さんにお願いをして、なんとか使い方だけはわかったんです。操作はいたって簡単だったので、良かったと思ったんです。

ところが、です。

使う度に、なぜか1度は止まるんです。もう一度スイッチをいれれば動くのですが、なぜか1度はストップするんです。

仕方なく、また電気屋さんにお願いをしてみてもらったんです。

ですが、特に問題はないらしく、結局、なぜ止まるのか原因はわからなかったんです。

でも、1度止まった後は普通に動くので、まぁ問題はないだろうということになりました。

ですが、使えば使うほど、妙なことに気がついたんです。

洗濯機が止まるタイミングは、必ず家族で談笑している時なんです。

バラエティを観て笑っている時や、クイズ番組で白熱している時。まるで、その空気を邪魔するかのように止まるんです。

父が、冗談で「意思があるみたいだな」と言ったので、そんな訳ないじゃないと笑ったのですが、私もなんだかだんだんそんな気持ちになってきました。

そして、ある日のこと。

両親が親戚の結婚式に出席するため、一人で留守番をしていた私が、夜に洗濯機をしていた時のことです。

つい疲れてしまい、リビングでうたた寝をしていたんです。どうせ全自動なのだから、勝手に止まると安心していたのです。

ウトウトしてきた時。あり得ない声が聞こえました。

それは、中年男性の声で咳払いをする声でした。

その声の大きさに、眠気が一気に吹き飛んでしまいました。リビングからは洗面所が見えて、そこには動きを止めた洗濯機が。

「まさか、ね」

誰もいないのに、思わず声に出してしまいました。まさか、洗濯機が喋るなんてことはありえませんから。

でも、あまりにも気になってしまい、両親に聞いたのです。

すると、両親とも咳払いの声を聞いていたのです。

父は、洗面所で歯を磨いている時に、母はキッチンで料理をしている時に聞いていたそうです。

家族の誰か1人だったら、「気のせい」の一言で片付いたのですが、さすがに家族全員となるとゾッとしてきます。

そして、気になってくるのが洗濯機です。咳払いを聞いたのは、全員洗濯機が近くにあった時です。

まさか、そんなことあるわけがない。そう思いながらも、気になって仕方がありませんでした。

結局、その中古の洗濯機は不用品を買取ってくれる業者に引き取ってもらうことにしたんです。

我が家には、最新の全自動洗濯機が届きました。

咳払いが聞こえることは、もう、ありませんでした。