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【心霊体験】あれは姑獲鳥だったのかもしれない

【投稿者:小夏さん】

ゴールデンウィークに、1人で旅行した時に私自身が経験した恐怖譚です。

中部地方のある都市を旅行し、予約していたホテルにチェックインしました。フロントで鍵を受け取り、指定された部屋のドアを開けて室内に入ると、ものすごくヒンヤリとした、冷たい空気と気配に包まれたのです。

私には、若干ですが、霊感があります。交通事故などで人が亡くなった現場近くを通ると、おそらくそこで命を落としてしまったのだろう・・・という人影を見てしまうことも。子供の頃は「気味の悪いことを言うな」とよく親から怒られていました。

ヒンヤリとした空気に包まれながら「あまり性質の良くないのがいるな」と感じた私は、フロントに電話をかけました。他に空いている部屋があったら、変えてもらおうと思ったのです。
ところが、ゴールデンウィークだったこともあり、あいにくホテルは満室。仕方なく、その部屋に泊まることにしました。

まだ5月にも関わらず30度を超える暑い日で私は汗ばんんでいましたが、客室内でも風呂場が特に気持ち悪く、お風呂に入るのは諦めたのです。シャワーを浴びている真っ最中に、金縛りをかけられても困りますから。

客室内が異様に寒く、エアコンは止めました。周りの空気が暖かくなってきたところで、午後23時頃に就寝。

ところが、午前4時頃のことです。エアコンを消したにも関わらず、また部屋の空気が異様に寒くなってきて、目が覚めてしまいました。
「なんかちょっかい出そうとしているのかな」と思った瞬間、金縛りに!
20代〜30代くらいの女性が、私の上に覆い被さり、耳元でずっとシクシクと泣き続けるではありませんか。

「安眠妨害するなよ!」と腹を立てながら、指先に全身の力を集中させて「離れろ!」と念じました。金縛りにあった時に、体のどこかに力を集中させて霊を吹き飛ばす方法は、知り合いのお坊さんに以前教わっていた方法です。
効果があり、パッと金縛りが解けましたが、部屋の空気はまだ冷たく、「まだいるな」と思った瞬間・・・。

今度は、私の寝ているベッドから手が生えてきたかのように、背中側から腕を伸ばされ、抱え込まれるような格好で再び金縛りに!!
相変わらず私の耳元でシクシクと泣き続けるその女性に、「しつこくて厄介だな、こいつ」と思いながら、「あんまりしつこいと、吹き飛ばすよ」と心の中で言ってみましたが、なおもシクシク泣き続けるばかり。同時に、その女性がお産の最中に、赤ちゃんと一緒に命を落としてしまったイメージが、私の頭の中に伝わってきました。

哀れだと感じつつも、安眠妨害されてますます腹が立ってきた私は、金縛りを解く方法を教えてくれたお坊さんから伝えられた、密教の化け物退治の呪文を心の中で唱えたのです。

その瞬間、私の周囲から何かが弾けたような気配がして、シクシクと泣き続けた女性が吹き飛んで行ったのがわかりました。
あれほど冷え切っていた部屋の空気は、一瞬で暖かくなり、「これでもう大丈夫だな」と、私は知り合いのお坊さんに心の中で感謝したのです。

体を起こして枕元の時計をみると、午前4時20分を指していました。目が覚めたのが4時だったから、20分も格闘していたことになります。「それにしても、しつこい霊だったな」と思いながら体を横たえると、いつの間にか眠りに落ちていました。

お産の最中に命を落としてしまった女性が、子供を攫う、姑獲鳥という恐ろしい妖怪になると聞いたことがあります。私に金縛りをかけてきた女性は、姑獲鳥になりかけていたしまった、悲しい霊だったのかもしれません。