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【心霊体験】時代を生きた人たち

【投稿者:小春日和さん】

祖母が亡くなり、ご遺体を家の仏間に安置した夜の出来事です。
大往生だったので可かも叔母も悲しみより満足感の方が大きく、普段と変わらず過ごしていました。
全員入浴を済ませ、やっと一息ついていました。
テレビを見ながら夕食をとっていると視界にぼんやり人のような影が入り込みました。
無意識にその影を捉えようと仏間に目をやった私は絶句。
祖母が眠る6畳の仏間いっぱいに知らない人がいるのです。
一瞬でこの世の人でないことが分かりました。
甲冑を付けている男性、布を腰に巻き槍を持っている男性、薄い着物姿に髷を結い、胡坐をかいている男性、背の低いお坊さんのような男性は手を合わせていました。
どの時代の人なのかもわかりません。
ただ全員が黒と茶色に見えました。
色が無いのです。
覚えているだけでも5人。
祖母の隣にいるのです。
まるで本から飛び出して生きたような光景です。
喋ることは無く音もしません。
時折歩いたりスーッと消えたりしています。
その中でも一番印象的だったのは歌舞伎に出てくるような風貌の男性がずっと裏庭の方向を見て立っていた事です。
その男性は身長がとても高く、50代から60代に見えました。
その人は茶色に見えていたのですがそれでも筋肉隆々なのが分かりました。
怖いを通り越して何の感情も無くなり、私はずっとその人たちを見続けました。
視界いっぱいに広がる様々な人たち。
目が合うことは無くそれぞれが違う時空にいるかのように焦点が合いません。
一点を見つめている人も歩き回っている人もいます。
その様子を見てある事が頭をよぎりました。
「この人たちは祖母の先祖たちではないか」という事です。
私の目に見えたのは全員男性でしたが、もっともっと遡ると女性もいたのではないでしょうか。
人は死んだ時、肉体が朽ちても魂はそのまま生き続けると言います。
その魂がまた新たに生まれる人の中に命として入り人生を歩む。
女性や男性、そして顔や体というのはあくまでも「皮」であり、根幹は魂だという事です。
祖母が亡くなった時、先祖たちが祖母の元へ、つまり魂がある場所へ集合したのではないかと感じたのです。
驚くほど鮮明に見え、しかもその格好からして生きた時代が違うであろう人たち。
あんな経験は初めてでした。
恐怖と同時にやってきたのは「祖母が力強く生きた証」を見たという感覚。
一体なんだったのか今でも分かりませんし、その後何が起こったわけでもありません。
我に返りその場にいた母と叔母に目をやるとテレビを見て笑っていました。
私にしか見えていなかったのです。