【投稿者:bepntjustさん】
10年以上前の話です。
当時大学生の私は実家を出て山梨に一人暮らしをしていました。
山梨にある有名な心霊スポットといえば富士の樹海があります。
自殺の名所としても有名ですよね。
私は、そんな樹海から車で20分ほどのところにアパートを借りて一人暮らしをしていました。
私が住んだアパートはいわゆる学生アパートであり同じアパートの住人は同じ大学に通う生徒のみでした。
また、大学自体も田舎にあり大学で町おこしをしているような所だったので周りにも学生専用のアパートは数多くありました。
そのような立地条件にありますので、夜な夜な学生同時がすぐに集まれる環境でした。
ある夏の事です。
いつものように友人宅で大学生ならではのたわいもない会話をしていましたが、友人の1人が
「夏だし、肝試しも兼ねてドライブ行かない?」と言い出しました。
目的がないドライブもつまらないから楽しいとこに行こう!ということになり、当時のガラケーやパソコンを駆使しての情報収拾を始めました。
遠くに行くのも面倒くさいし、近くでどこか面白い所はないか?という話になりました。
そこで夜の樹海の話になりました。
私たちは友人の車に乗り込んで樹海に行く事にしたのです。
(正確には樹海の入り口になる『風穴』という観光スポットです)
時間は真夜中の2時ぐらいなのですれ違う車も全くと言っていいほどいませんでした。
20分ほど車を走らせ、目的地に到着しました。
観光スポットなので駐車場もありましたが、ひと気の無い場所ですし、真夜中の2時ではもちろん一台も車は止まっていません。
木々の生い茂る不気味な感じです。
車を降りて入り口の方へ歩いて行くと、ベンチ付近に黒っぽい人影が見ました。
近づいてみると、そこには中年の男性らしき人が座っていたのです。
その男性は大きなリュックサックを背負ってうつむいているような姿勢で動く気配がありません。
とても驚きましたが平静を装います。
(なにせ、こんな時間にこんな場所に人がいるとは思っていませんでしたので……)
友人達も同様に驚いたような表情をしていました。
その駐車場から奥に行くためのゲートはしまっているため、これ以上奥にはいけないようです。
一通りあたりを散策し終えた私達はやることもなくなったので帰ろうとした時、
突然男性から「君たち何をしにきたの?」と聞かれました。
なんとも覇気のない、低いトーンで。
私たちは驚きつつも「肝試しです」と答えると、それっきり男性からの言葉はありませんでした。
気味が悪いな。
そう思いながら帰るために車に乗り込んだ私達ですが、
車にのりこんですぐ、友人の誰かがつぶやきました。
「あの男性ってさあ、もしかして、、、」
その時の、これまでに感じたことが無いくらいの全身に鳥肌が立つような感覚を今でも覚えています。
駐車場には車が1台も無いわけですから、あの男性は日が暮れる前にバスで来た可能性が高いです。
そしてこんな時間になるまで、実行すべきか否かを自問自答し続けているのではないか……
私達は特に言葉を発することもなく、全員の意見が一致したように感じました。
再び車を降りて、さっきの男性に声を掛けてみることにしたのです。
やはりそのままほっておくわけにはいかない、という考えです。
ですが、急いで男性がいたベンチに向かったのですが男性の姿はありません。
耳を済ますと「ザッ、ザッ、ザッ」と急ぎ足で木の葉を踏みしめ、奥へと向かう足音が聞こえたため、大声で呼びましたが声に気がついた男性は逃げるように樹海の奥へと消えて行きました。
これ以上奥へ入ることに身の危険を感じた私達は追うのを諦めました。
この話は以上です。
あの男性は、一体何をしようとしていたのでしょうか。
何かを待っていたのでしょうか。
今、当時を思い返しても、やはりあの男性は、これから死にゆく人だったんじゃないかと、そう思わずにはいられません。
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