【投稿者:ちーちゃんさん】
これは、私が高校生のときに体験した話です。
夏休みも後半にさしかかり、たしかお盆過ぎの頃だったと思います。
私は、友人、そして免許を取ったばかりの友人の兄の3人でドライブに出掛けました。
ドライブに行ったその帰り、私たちは恐怖体験をすることになったのです。
ことの始まりは、私の友人の兄が免許を取得したお祝いとしてご両親から新車を買ってもらったことに始まります。
納車されてまだ間もないということもあり、友人の兄は新車を運転して日夜ドライブに出かけていたそうです。
そのドライブに、ちょうど暇を持て余していた私達が誘われた、ということです。
友人の兄が車を運転をし、友人が助手席、そして私は後部座席に座ることになりました。
夕方過ぎに出発したそんなドライブも、目的地を一通り周りきり帰路につくことになりました。
周りはかなり暗くなっていたので、おそらく夜の8時を過ぎていたと思います。
少し時間も遅くなってしまったので、私の自宅まで車で送ってくれることになりました。
ドライブ先から私の自宅へ向かうには、地元にある少し大きな橋を越えないといけないのですが、その手前にある、高速道路の高架に差し掛かろうとしたときのことです。
友人が
「エアコンつけすぎじゃない? なんか寒いなあ」
と言い出しました。
私は後部座席にいたせいか寒さは感じなかったので
「そお?」
と空返事を返しつつも、急にヒヤッとした空気が顔に当たったような気がしました。
「(多分助手席は直接エアコンの風が当たって寒いんだろうな)」
そんな風に思っていました。
そして、車が高架下を通過し、T字路手前で減速し始めたとき
「ダンっっっ!!!!」
なにか車の屋根に重いものが落ちてきたような音がしたんです。
3人とも
「なに?!」
と、とっさに状況が理解できず顔を見合わせながら驚いていると、
前方に………真っ黒い人影のようなものが見えた気がしたのです。
友人の兄はびっくりして急ブレーキをかけました。
私と友人は急ブレーキに前のめりになりつつも、理解できない状況に気が動転していました。
すると、なぜだかわからないのですが、私のいた後部座席の外の方から強烈な視線のようなものを感じたのです。
私は状況についていけず、半ばパニック状態になりながらも、視線を感じた窓のほうに目をやりました。
すると……ものすごい表情で車内を覗きこむ中年男性らしき姿がそこにあったのです。
目は見開き、血まなこで私たちを見ていました。
「っ!?」
時間にして1秒もない一瞬の出来事だったと思うのですが、その瞬間が何秒にも感じられました。
そして次の瞬間、男は低い声で
「ーーーーお前じゃないーーーー」
と呟いたかとおもうと、スッとその人影が消えたのです。
あまりの怖さと衝撃に私は声が出ず、友人、そして友人の兄もただただ呆然とその人影を見ていました。
はっと我に返り、次の瞬間に押し寄せてくるなんとも言えない恐怖心に襲われた私達は、その場を立ち去りたい一心で慌ててアクセルを踏み込み、一目散にその場を離れました。
その後の、車中での会話や自宅についてからどう過ごしたのか全く思い出せないほど、怖く、そして衝撃を受けた体験でした。
そして翌日、私は再びパニックに襲われます。
普段あまり見ない新聞を、その日はなんとなく気になってしまい何気なく目を通していたのですが、最後の方で気になる記事を見つけたのです。
そこに書かれていたのは、私達が例の人影を見た前日、その高速道路でひき逃げ事故が起きていた、というものでした。
さらに、そのひき逃げ事故により、中年夫婦が即死で亡くなり、高校生の女の子が重体になっている、という内容だったのです。
その記事を見た瞬間、体中の毛が逆立つのを感じました。
鳥肌が止まらず、すぐさま昨日一緒にドライブをした友人に電話をしました。
すると、
「今、兄貴が車のお祓いに行っててさ」
と言うのです。
「えっなんで??」
と聞くと
「今朝、車を見たら、車のボンネットとフロントガラスに誰かの手形がくっきり付いてたらしくてさ……昨日の件もあって兄貴がパニクっちゃって、さっきうちの親たちと一緒にお祓いをしてもらいに行くって」
と。
私は先程新聞で見つけた「ひき逃げ事件」が起こっていたという事実を告げるべきか迷いました。
友人は続けて、
「理由は良くわからないけど、私達も一応お祓い受けに行った方がいいのかも。 一緒に行こうよ」
そう言われ、私達もすぐにお祓いに出かけることにしました。
それ以来、その高速道路の高架下はくぐり抜けしないようにしています。
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