【投稿者:こむたさん】
大学に入って2年目の冬が近づいた頃だったと思います。
当時よく一緒に時間を過ごしていた友人2人と、その日も講義を終えた後に友人宅で集まって遊んでいました。
少しずつ暗くなり始めた夕刻に、ご飯食べに行こうという話になり、3人で車に乗りファミレスで夕食を食べに行きました。
その帰り道、1人がちょっと夜景でも見に行こうかと言い始めたので、少し回り道をして夜景の見える山へ向かいました。
夜景が綺麗に見える場所は、いわゆるデートスポットというほどではないのですが、地元の人にはそれなりに有名な山の山頂部にあり、若い子たちがたまに訪れます。
交通量の多い国道から脇に逸れた道を山頂へ車を走らせること15分くらいでその場所へ到達するので、イメージとしては山中を走っている国道を、さらに登るような感じです。
その日は少し天気も悪かったこともあって、到着しても私たち以外に人の気配はなく、しばらくそこでくだらない話していたように思います。
時間も遅かったため、そろそろ引き上げようと車を元きた道へ走らせると、1人がこの辺に火葬場があるんだよ。ちょっと肝試しで行ってみない?と言い出しました。
国道へ出る道は実は2つあり、元きた道とは違う方からも国道へ出られるのですが、まさにその方向に火葬場があるとのことでした。
どのみちそれほど遠回りにはならないとの話になり、彼が言う通り、その方向へと車を走らせることにしました。
その方向へ車を走らせると、先ほど走った道よりも山中が深く、カーブ続きで車のライトをハイビームにしないといけないくらいに街灯も少なく、対向車や後ろから走ってくる車も見えませんでした。
しばらくすると、またその道が二手に分かれたので、言い出しっぺの彼が、こっちだと思うと言ったため、その方向へ走るとしばらくしてそれらしい施設のそばに到着しました。
今から思えば、あまりに暗く、その場所が火葬場であったかどうかもわからないのですが、突き当たりの正面にその施設を見て、右手によくわからない鉄扉に閉ざされた空き地があったので、そこの前で車を停めました。
ただ、3人とも車を降りる勇気がなく、しばらくそのあまりに静かな空間に息を潜めて、周囲を見回していました。
と、そのとき、
運転していた友人が、
「やばい、やばい。帰ろう。」
と、言い出し、猛スピードでバックで車を走らせました。
私ともう1人は何が起きたのかわかりませんでしたが、運転していた彼は帰り際、気持ちが悪くなってきた、とだけ言っていました。
ただそれだけしか言いませんでした。
友人宅に戻って、自分の車に乗り換え、私が自宅に戻ったのは明け方でした。
遅かったためさすがに疲れていた私は、居間でそのまま寝てしまいました。
すると、
「死ね。死ね。死ね。」
という言葉が私の頭の中で繰り返され、あまりの苦しさになんとか目覚めようにも体が動かない。台所で母親が朝食を作っている音は聞こえるのに、体が動かない。
人生で2回目の金縛りでした。
私は凄まじい声で唸りながら、体をなんとか動かすことができましたが、汗がハンパなく、恐怖体験をしたことをその日の昼に、昨日の運転していた友人に打ち明けました。
彼は、私の話を聞いてすぐに、
「お前もか。」と言い、
「実は俺、昨日の帰り道、ずっと死ね。って言われてた。」と私に告げました。
あの日、一体私たちに何がふりかかったのかはわかりませんが、霊感などは無縁であった私の数少ない恐怖体験であり、
今でもこれを書くだけで背筋が凍る話なのです。
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