【投稿者:haruさん】
これは私が、今の主人と結婚する前の話です。
車でちょっと遠出をして、山陽道を通って家に帰ろうとした時のことです。
ときは夕方。
遊び疲れた私は、助手席に座りながら、ついウトウトしてきてしまいました。
「眠くなってきちゃった……。」
「でも、運転してもらってるのに私だけ寝たら悪いよね。頑張って起きていよう。」
こっくりこっくり頭を振りながらも、そんなことを考えて、必死に睡魔と戦っていました。
そのときです。
乗っている車のスピードが急に落ち始めたのに気が付きました。
「あれ、どうしたんだろう。
気のせいかな……いや、やっぱりスピード落ちてるな。」
何かしゃべって目を覚まそうと思った私は、
「ねぇ、なんかスピード、急にゆっくりになってない?」
と隣にいる彼氏(今の主人)に話しかけました。
「うん、そうだねぇ……。」
なんだかはっきりしない返事です。
「え、なんで?大丈夫?眠くなってきたの?」
彼氏の返事を変に思った私は再度問いかけました。
(本当は眠いのは自分だったんですけどね。)
「うん、ちょっとね……まぁ後から言うわ。」
またもや、彼氏からははっきりしないあやふやな返事。
不思議に思いながらも、眠気がピークになっていた私は、
ついにここで眠り込んでしまったのでした。
数日後。
彼氏とまたデートしていた私は、ふと遠出をした日の会話を思い出しました。
あの時一体何があったのかなんとなく気になり始めた私は、
彼氏に聞いてみることにしました。
「そういえばさ、あの遠出をした日!
なんか、後で言うって言ってたけど、あれって何だったの?」
すると彼氏は急に顔をくもらせました。
「○○は怖がりだから……。聞かないほうがいいと思うけど。」
突然怖い話が始まりそうで私は驚きました。
何を隠そう私は怖い話が大の苦手なのです。
ですが今は昼間、しかもこれは数日前にすでに終わってしまったできごと。
好奇心を抑えられなかった私は、つい話の続きを聞いてしまいました。
「実はさ……。
あの時、前に『黒い車』が走ってたの覚えてる?
普通のセダンタイプの乗用車だったんだけど、
その車の後ろ側……。
多分○○には見えてなかったと思うんだけど、
トランクから、死んだ人がはみ出てぶら下がってたんだ。」
私は声を失いました。
そして思いました。聞くんじゃなかった、と。
私の主人、この時はまだ彼氏でしたが、ちょっとした霊感の持ち主なのです。
これまでも数々の心霊現象に遭遇しています。
あの遠出をした日の帰り道では、前の車によからぬものが見えてしまい、
思わずスピードを落として間隔をあけた、ということなのでした。
その車は一体何だったのか。
まさか殺人を犯して死体を運んでいるところだったのか、
それとも以前、なんらかの理由で死体をトランクに乗せていたことがあったとか?
真実は知るよしもありません。
私にとっては、忘れたいのに忘れられない、恐怖体験です。
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