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【奇妙な話】深夜のイタズラ電話

FM都市伝説

【投稿者:半田ふみさん】

私が中学生の頃、急にイタズラ電話が増えた時期がありました。夜…主に深夜帯に、何度も電話がかかってくるのです。最初は電話に出られる時間帯のものは律義に取っていましたが、1秒ほどの無言のあとにガチャリと切られる、というのがお決まりのパターンでした。

当時うちにあった固定電話にはナンバーディスプレイなどはなく、イタズラ電話の相手の番号を知るすべはなし。また当時は携帯電話よりも固定電話が主流だったため、電話線を切るわけにもいかず、しばらくは我慢していました。しかし、そのうちあまりにも深夜のイタズラ電話が頻繁にかかるようになり、うるさいやら薄気味悪いやらで、とうとう寝るときには電話線を外し、朝起きたら電話線を接続する、という対策を取るようになりました。

もしかしたら深夜に大事な電話がかかってくる可能性もありましたが、致し方ありません。それにここ最近、夜以降の電話はすべてイタズラ電話と判断して取らないようになっていましたから、電話線を抜いても抜かなくても同じことだったのです。

もちろん、電話線を抜けば無言電話はかからなくなります。私たち家族は、ようやく安眠を取り戻すことができました。

その一方で、こうしている間にも無言電話の相手は私たちの家に電話をかけ続けているのだろうか?これはいつまで続くのだろうか?という不安も、心の隅に抱き続けていました。

しかし、相手も人間です。そのうち飽きるか、何か目的があるなら諦めるだろう、と、電話線の抜き差しという面倒な習慣を続けていました。

そんなある日のこと。夕方の時間帯に電話が鳴りました。

夕方は当時、よく親しい親戚が電話をかけたくれた時間です。私はその親戚だろうと思い受話器を取りました。しかし受話器の向こうでは、低いような高いような音が長く長く続いているばかり。私は「何これ?」と思いながら受話器を置き、親戚であればもう一度電話をかけてくるだろうとしばらく待ってみましたが、結局電話はかかってきませんでした。

夜になり、電話線を抜こうとしていた母の方から「あれっ」という声が聞こえてきました。

私が「なにかあった?」と言うと、母は「朝、電話線を差すの忘れちゃってた」と笑いました。

私には一瞬、意味が分かりませんでした。だって夕方、電話がかかってきて…私はそれを取って…。

刹那、私の耳にはあのときの音が蘇ってきました。長く長く続いていたあの、低いような高いような音。あれは音ではなく、人の声ではなかったか…。

結局イタズラ電話はある日パッタリと来なくなり、それ以降はイタズラ電話に悩まされることはありませんでした。今考えても、謎が多い出来事です。