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【投稿者:るかさん】
私の後輩Aちゃんは高校生になり、某大型スーパーにテナントとして入っているパン屋さんでアルバイトをはじめました。
Aちゃんは、おとなしそうな可愛らしい感じの女の子です。
将来の夢がお母さんと一緒にパン屋さんを開くことだったため、パン屋さんでアルバイトできると決まった時は、とても嬉しそうでした。
Aちゃんは基本的に、高校の授業が終わった後の夕方から出勤していました。
少し業務に慣れてきた頃、いつも仕事帰りにくる男性客(推定25歳前後)に声をかけられます。
「いつもありがとう。笑顔が素敵だね」
Aちゃんは感じの良い接客を心掛けていたため、接客を褒められた!と嬉しかったそうです。
それから男性客が来店した際は会話をするようになります。
Aちゃんいわく「よく自分のことを話す人なんだな」という印象だったそう。
話しを聞きながらも、Aちゃんについても色々聞かれたため、将来の夢や自分が高校生である事など伝えたそうです。
Aちゃんは、良く来てくれる常連客のひとりだと認識していました。
しかし、3カ月ぐらいたつと、少しずつ変化が…。
ある日、その男性客から携帯番号が書いてある手紙を渡されたそうです。
丁寧にお断りしたそうですが、その後もAちゃんの出勤日には毎回来て何度も手紙を渡されます。
そのたびに「すみません、これは受け取れません」と断っていたそうですが、諦めてくれません。
いい加減しつこいので、店長に相談して男性客にきつく注意してもらい、何とか店には来なくなりました。
しかし、ホッとしたのもつかの間。
Aちゃんは高校まで電車通学をしていました。
とある日、カバンの中から見知らぬ一枚の手紙が出てきたそうです…。
どうやら満員電車の中で勝手に入れられたものらしく、内容は「Aちゃん、なんで離れていったんだ」というものでした。
手紙にはそれ以外、名前も書いていない何と気持ちが悪いものでした。
この手紙は絶対にあの男性客からのもの…。
Aちゃんは恐怖から、電車通学を止めました。
そして、もしかしたらまたバイト先にも現れるかもしれない…と思うと怖くなってしまい、アルバイトも辞めてしまいました。
それから男性客に会うことは無かったそうです。
そんな出来事から数年が経ち、大学生になったAちゃんは悲しそうにこう呟きました。
「あれがトラウマで、接客のアルバイトができなくなっちゃったんだよね…」
本来であれば、お客さん相手に笑顔で接客できるというのは素晴らしい事だと思うのですが、手放しで良いという訳ではないのかもしれません。