【投稿者:yukkoさん】
修学旅行で京都に泊まりました。
具体的な旅館名は業務妨害になるので言えませんが、古くからある由緒正しい旅館です。
わたしに霊感はありません。
しかし、心霊現象や呪いは信じています。
その考えに至った体験を、その旅館で経験しました。
旅館に着き、荷物を置きに部屋に入りました。
部屋は畳敷きで、奥に木製のクローゼットがあり、中には浴衣が入っていました。
部屋の壁際は板の間になっており、テレビが置いてあり、掛け軸が飾ってありました。
とにかく、部屋の奥の木製のクローゼットが不気味に感じました。
なぜか、中に誰かが隠れているような気配がするのです。
実際には入っているのは人数分の浴衣と、ハンガーで各々が掛けた制服だけです。
しかし、開けたら誰かが隠れている、そんな感覚が強かったのを覚えています。
とても、気味が悪かったです。
しかし、楽しみにしていた修学旅行なので、あまり深く考えることはありませんでした。
荷物を置き、すぐに友人のいる別の部屋に遊びに行きました。
旅館に着いてから夕食まで、荷解きの時間として自由時間だったのです。
そして、その友人達の宿泊する部屋で奇妙なものを見つけました。
お札です。
テレビの後ろに飾ってある掛け軸の裏に、お札が貼ってあったのです。
わたしと、友人Aが見つけました。
それは掛け軸の裏にあるはずなのに、日に焼けてボロボロになっていました。
筆で何か書いてあるようでしたが、当時の自分には読めませんでした。
赤い鳥居が描かれていたのは覚えています。
友人達は、気味が悪いと大騒ぎします。
そして何より1番の恐怖が、わたしと一緒にいた友人Aが「そんなに気持ち悪いなら捨てちゃったらいいじゃん」と、そのお札を剥がして部屋のゴミ箱に投げ捨てたのです。
友人Aの行動にはわたしを含めて一同びっくりです。
もちろん、その後友人Aは部屋の友人達から非難を受けました。
お札を元の場所に貼り直し、わたしと友人Aは夕食に向かいました。
わたしは、自分が泊まる部屋じゃなくてよかった、とこっそり思っていました。
その日の夜、お札が見つかった部屋で宿泊予定だった友人Bが、熱を出して倒れました。
目撃した友人によると、元気だった友人Bは夕食の後に突然気分が悪いと訴え、熱を測ると39度の熱があり、そのまま倒れたそうです。
友人Bは、普段は皆勤賞を取るような病気知らずです。
引率の先生に看病されましたが、熱は下がらず、結局夜中に病院に搬送されました。
友人Bはなかなか良くならず、結局最終日まで先生の部屋で看病されて過ごしました。
しかし、不思議なのです。
友人Bは、そのお札の騒動の時には部屋におらず、お札の件は知らなかったのです。
お札のことを知ってしまい気分が悪くなってしまった、ということは、あり得ません。
そして、友人Bだけではなく、他の友人も体調不良や怪我で次々と倒れていきました。
体調不良だけなら、部屋で風邪が蔓延したのかもしれない、と納得できたかもしれません。
しかし、階段から落ちて怪我をしたり、鼻血が出て止まらなくなったなど、内容が様々でした。
最終的に無事に残ったのは、2人でした。
8人が宿泊した部屋で、怪我や病気をしなかった子が2人だけだったのです。
なお、他の部屋、他のクラスからは怪我人や体調不良の子はひとりも出ていません。
お札の貼ってあった部屋で、病人・怪我人が集中しました。
「このお札のせいだ」と残った友人達は怖がっていました。
実際、スマホで調べてみると、旅館の名前を入れただけで検索候補に「幽霊」や「出る」「事件」といった候補がたくさん表示されました。
今でも、検索したら出てきます。
京都という土地ですから、怪談の話は数多くありますが、それを加味しても異常な数の体験談がネットに書き込みされていました。
体験談の内容はバラバラで、「知らない女性が部屋に佇んでいる」「心霊写真が撮れる」「開かずの間がある」といういかにもありがちな話ばかりです。
しかし、その「出る」と言われている部屋は、その時友人B達が宿泊していた部屋と、わたしと友人Aが宿泊していた部屋でした。
しかも、わたしと友人Aが宿泊していた部屋の体験談は、「写真を撮ると部屋の奥に幽霊が映る」「部屋の奥で女性を見た」という体験談ばかりです。
様々な体験談の中で、「部屋の奥」が共通していました。
部屋の奥には、最初に気味が悪いと感じたクローゼットしかありません。
いま思うと、クローゼットの中の気配は何だったのか。
もしかしたら、なにかがいたのかもしれません。
ちなみに、その旅館で泊まる最後の夜に、「お札を剥がした責任を取りなさい」と言われ、わたしと友人Aはお札が貼ってあった部屋で寝ました。
いや、正確には寝ていません。お札のある部屋で残った友人達2人と、わたしと、友人A、の、合計4人で眠ることなく朝を迎えました。
正直、生きた心地がしませんでした。
後日、帰った後、わたしも体調を崩しました。
また、残った2人も体調を崩しました。
結局、お札のあったあの部屋で泊まった人間は、お札を剥がした友人A以外の全員が酷い目に遭ったのです。
友人Aだけが、無事でした。
それは、お札を剥がした張本人だからなのでしょうか。
普通に考えたら、友人Aが一番酷い目に遭いそうなのに、と思います。
一番酷い目に遭った、文字通り「死にかけた」
のは、最初に救急病院に搬送された友人Bです。
実は友人Aと友人Bは、一卵性双生児の姉妹です。
もしかしたら、友人Aに降りかかる災難を、友人Bが肩代わりしてしまったのでしょうか。
または、担任の先生も間違えるほどそっくりな友人Aと友人Bを、間違えたのでしょうか。
未だに、あの現象が何だったのか、あの旅館でなにが潜んでいたのか、不思議に思います。