【投稿者:峠の体験者さん】
今回は、前回のお話でも出ました病院での、別の『恐怖体験』をさせて頂きたく思います。
前回でお話させて頂きましたが、再度、病院の構造をお話させて頂きたいと思います。
病院の規模は、おそらく職員が100人以上いる中規模的な、かなり古い病院になります。
病院内は独特の薬品の匂いが漂うような、いわゆるお化け屋敷の病院バージョンみたいな病院でして、所々リノベーションされており、病院中央部にエレベーターがありました。
建物は5階建てで、一階が外来と地域包括支援センター、2階~4階までが入院病棟、5階が定例会などをする大ホールになっております。
各階の片方の突き当りに、『夜間帯は入ったらいけないと言われる、非常階段』があり、様々ないわくのある病院で、定期的に(これは冗談ではなく本当の話なのですが)お祓いの方がお見えになっておりました。
それでは早速・・・
その日は、当直の日でして、メンバーは看護師のAさん、Bさん、そして私です。
その日はなぜか患者様がナースコールが連発する日で、深夜1時くらいまでコール対応で3人ともバタバタしておりました。
ようやくコールも落ち着き、ナースステーションで待機しつつ記録物を記入しておりました。
ちなみに、ナースステーションはエレベーターの真正面にあり、誰かがエレベーターを利用するとナースステーションにいる看護師たちは否が応でも気づく事になります。
ナースステーションは2階にあり、3人の看護師で待機するのが通例でして、エレベーター通常は2階に止まるように設定されております。
話は戻ります・・・
丁度落ち着いた、深夜1時すぎ・・・Aさんが『あっ!』と・・・・声を出します。
自分もその後すぐに『え?』と聞き返そうとしたまさにその時、『ガタン』と言う音と共にエレベーターが動き始めました。
3人とも『?????』『・・・・・・』数秒・・・・沈黙・・・。
Bさん『動いたよね?動いたよね?』
Aさん『動いた!気持ち悪いんだけど・・・・』
私『動きましたね・・・』
エレベーターは皆さんもご存じのように、”今動いているのかどうか”、”どの階に止まっているのか”、がパネルの明かりで分かるシステムです。
明らかに動いておりました・・・。院内には確実に3人しかいませんし、夜9時にはすべて院内を施錠する決まりになっておりました。
結局5階ホールでパネルが点灯し、エレベーターが止まりました・・。
もしかしたら、『外部からの侵入者?』という可能性もある為、巡視に行かざる負えません。
ここで付け加えておきますが、患者様は老人病院の為、自分で移動できる方はおりませんでした。
寝たきりの方か、介助が必須の車いすの方のみの院内です。
話は戻ります・・・。
ここで、誰が巡視にいくのか・・・・。話し合う事もなく、一番新人の私です・・・。
正直『勘弁してよ・・。なんで私なの?』と、思いながらも、懐中電灯を持ち、しぶしぶ5階に止まったエレベーターを2階まで呼び戻します。
そして到着したエレベーターに乗り込み5階のパネルを押し、5階に着きました。
降り立った5階はもちろん、非常灯が薄暗く光るだけのうす暗いホールで、そういう時って、今考えれば電気を付ければ良かったのでしょうが、その際はそれよりも恐怖で心の余裕が無く、ホールの電気をつけるという考えさえ頭にはありませんでした・・。
懐中電灯の薄暗い明かりをホールに照らしながら『誰かいますか?』・・・・もちろん、返答なし。
ここで、5階ホールの大まかな、構造をお話させてください。
5階は、定例会議で使う大きなホールですが、患者様のイベント行事にも使うため、緊急用で4個ほどベッドがあり、仕切りにカーテンが御座います。
話は戻ります。
「やっぱエレベーターの故障かな」と、私の中で必死に思い込み2階のステーションに戻るときでした。
振り返りざまに、懐中電灯が例の仕切りカーテンを照らしました・・。
『え?』『動いてる?』
どうも、カーテンが揺れているというかもこもこ動いている・・・そんな感じでした。
よく言われますが、こういう時って声が出せないものなんですよね・・。
まさか、『外部からの侵入者?』『それとも・・・・また・・』
さすがに、一人ではその仕切りカーテンに近づく事すらできず、急いで先輩2人を呼びに戻り、半ば無理やり3人で5階へ・・・。
ただ、3人で5階に降り立った際はカーテンは動いておらず、Bさんが電気を付け、5階すべてをくまなく調べましたが結局誰もおりませんでした。
するとAさんが、『もしかしたら、非常階段から移動した?』とか、嫌な事を言い出しました。
さすがに暗黙の了解で、『夜間は非常階段は使用禁止』でしたので巡視は控えることに。もちろん不安でしたが非常階段の巡視はせずその日は仮眠もせず、定期巡視を多めに行い、無事朝を迎えました。
師長には、前回同様エレベーターの故障の、申し送りをAさんがして下さり、その日は帰宅しました。
後日談ですが、エレベーターに故障はなく、また、古いエレベーターでしたので『パネルを押さない限り、動く事はありえない』と業者の方がおっしゃっていたそうです。
あのカーテンのもこもこした揺れはなんだったのか・・・・。
あのエレベーターが動いたのは何だったのか・・・・。
今現在でも、分かりませんが、非常に恐ろしい体験でした。
最後まで、ご拝読頂きまして、誠に有難うございました。