【投稿者:よりのつさん】
皆さんも、夜中に目が覚めてトイレにいかれることがあるかと思います。
私も頻繁にあるのですが、そのような状況になった際、私はトイレに行く前に必ず時計を見るようにしています。
この世の者ではない気配を感じてしまうと言われる、丑三つ時ではないかと気になってしまうのです。
ですが、深夜にパッと目が開いた際、時計を見ると決まって深夜の1時30分過ぎ。
「どうしていつもこの時間に起きてしまうんだろう…」と、時計を見るたびにがっかりしてしまいます。
深夜の2時といえば丑三つ時です。
幽霊の出やすい時間帯なので、絶対に起きたくないと思う私は必ず寝る前は軽く運動をしてから眠りにつくようにしています。
ところが、その日は肩を揺さぶられて起こされてしまったのです。
「うわ、なんで起こすの!?幽霊なんて見たくないよ」と思ったので布団を頭から被り、ベッドの横から感じる気配が消えるまで待ちました。
少し経つとその気配が消えたので、私は恐る恐る布団をずらし、顔を出して辺りを見回しました。
「出ないでよ、出ないでよ」と心の中で祈りつつ、部屋の灯りを急いで点けました。
そして後ろを振り返って見ると…誰もいません。
「はあ、よかった…」ホッと胸を撫で下ろした私はトイレに行き、用を足すことにしました。
その頃住んでいた家は田舎の一軒家で、いわゆる日本家屋のような、かなり古い建物でした。
トイレがある場所はかなり奥まった場所にあったため部屋から少し歩くことになります。
廊下を明るく照らす電灯などがなかったため、トイレに行く際はいつも懐中電灯で床を照らしながら歩くようにしていました。
幽霊が出ないように、廊下を歩いている時は「よし、行くぞ!」と気合を入れて、ゆっくりと一歩一歩踏みしめながら歩いて行きました。
「よかった。何も出なかった」と嬉しい気持ちになった私はトイレに入り、座面に座って用を足します。
用を足し終えてホッとした矢先、どうも左横の壁の方からコツコツと音が聞こえてくるんです。
「なんだろう。この音」人が壁をノックしているような音が。
座面に座った状態のまま、違和感を感じたその壁をずっと見ていると……今度は背中の方からモアーッとした重い空気が漂ってきて、私を襲ってくるようでゾゾゾッと寒気が全身を走ります。
「まずいな、早くここから出ないと危険だ」と思った私は水を流し、手を洗ってタオルで拭くのも忘れてトイレから飛びだそうとした瞬間、、、!
コツコツコツ
という音がさらに大きくなって聞こえてきたので、私は音の出どころと感じるトイレの壁面を凝視しました。
すると、、その壁の前に男の人の顔が浮かんでいたのです!
年の頃は20代半ばから後半ほどに見える男性でした。
瞼は閉じていて、静かに浮かんでいる状態です。
今までにこんなにも鮮明に幽霊の顔が目の前に浮かんでいたのは初めてでした。
すごく立体的で、今にも動き出しそうなその顔は生きているかのように色艶もあり、髪の毛も風で吹いているみたいにユラユラと揺れています。
なぜか私はその顔に吸い寄せられてしまう感覚に襲われました。
そして「こっちに来て」と男性から伝わってきます。
しかし、「いけない!近づいては」強い気持ちに包まれた私はトイレのドアを閉めて、自分の部屋へと走りました。
部屋のドアを閉めて、顔だけの幽霊が部屋に入らないように押さえます。
「来るな!来るな!」と心の中で強く祈りながら。
かすかにトイレの方から「ククククッ」という苦悶するような声が聞こえてきます。
私は「消えて、消えて!!」と目を閉じて強く心の中で念じると、その苦悶する声は聞こえなくなりました。
この出来事以来、二度とトイレに顔が浮かぶ光景を見ることはありません。
でも、たまにトイレに入って用を足していると壁からコツコツとノックする音が聞こえたり、後ろの方からこちらを見ている視線を強く感じます。
そのたびにトイレから飛び出し、自分の部屋に走る私です。