【投稿者:月詠さん】
今回は、北海道の道南にある『正一位石倉稲荷神社』、通称『ビビリ神社』で肝試しをした際の体験談をお話ししたいと思います。
このビビリ神社、道南ではかなり有名な最恐スポットであり、老婆の霊や車に手形、その他にも様々な怪奇現象が起きるスポットとして認知されています。
私たちは無謀にも、このビビリ神社に軽い気持ちで肝試しに行ったのですが、、、。
22歳の夏、社会人になって4年目になり、仕事仲間からの友人が増えてくる頃でした。
よく飲みに行ったりご飯に行ったりする先輩の一人に心霊スポット巡りが趣味の人がいました。
週末、仕事終わりに私と私の同期、先輩2人(そのうちの一人が心霊好き)の4人で焼肉を食べに行き、色々な話をする中で先輩の一言から怪奇現象の話になりました。
『心霊スポットって行ったことあるか?』
私は心霊スポットやそれ関連の内容に関しては興味が湧く方なので色々行ったことはありました。
ただ、他の2人は行ったことないとのこと。
『行ってみたいところがあるんだけどこの後いかないか?』
その先輩はそういったスポットがとても好きらしく、行く気満々です。
その先輩はビビリ神社に行きたいと言いました。
何やらかなり有名な心霊スポットのようでした。実際に事件があったとかなんとか。
4人全員が先輩が勧めるビビリ神社には行ったことがなかったので、とりあえず興味本位で行ってみることになったのです。
そして、行く時間帯は霊が一番出ると言われている丑三つ時(2時から2時半頃)を狙っていくことになりました。(先輩が強引にこの時間を指定した感じでした)
場所は車で20分くらいの近場とのこと。
友人宅でゲームなどをしながら時間をつぶし、丑三つ時に到着するように車で出発することに。
『心霊スポットって呪われるっていうけど大丈夫なの?』
『まぁそれも本当かどうかはわからないけどな』
『声が聞こえたりとかあるみたいだよ』
車内ではそんな他愛もなく、しかし心のどこかに不安を残した会話が続きました。
その不安はもちろん最恐スポットという事、本当かどうかわからないが呪われる、霊が出る、そんな噂が出ているところへ向かっているということ、興味本位ではあるものの緊張感で4人の空気が少しずつ張り詰めてきました。
私自身も友人たちも、結構ビビっていたと思います。
そうこうしているうちにビビリ神社の入り口に到着しました。
向かって右側に縦長の石碑があり、そこに正一位石倉稲荷神社と書かれております。
奥に道は続いていますが全く明かりがなく、途中までは車で入れそうでしたので車のライトで先を照らしてゆっくりと進みました。
しばらく進むと車を5台くらい止められそうな空き地が左手にあり、そこに車を止めることにしました。
『ちょっと怖いけどここからは歩いていくか』
私たち渋々先輩の判断に従います。
ただ、あたりはほぼ完全なる真っ暗闇の状態で、相当怖いです。
私たちが持っている明かりは懐中電灯二つとスマホのみ。
足元程度しか照らすことができない中、4人は真っ暗闇の中、まっすくと歩きます。
しばらく歩くと左手に大きな石が見えてきました。
『この石が呪われてるって噂があるらしいぜ。見える人にはこの石に張り付いている人の霊が見えるんだとか……』
そんな先輩の超怖い解説を聞きながら、私たちは一応写真を取りながら先に進みます。
そこからの道は少し傾斜があり、周りには建物などは一切なく、背の高い木々で覆われているような道になっていました。
『ガサガサガサッ』
『サーーーーーーーーーーーーー』
風に揺れる木々の音が超怖かったのを覚えています。
(周りにある木の影から誰かがのぞいているような感覚になってしまい、冗談抜きで周りに目を向けることができなかったです)
そしてついにビビリ神社の本堂が見えました。
鳥居があり、本堂の壁は赤で塗られ、より一層不気味な雰囲気を漂わせていました。
『ここで首を吊った人もいたらしいぜ』
先輩がまた余計なことを言い出します。
本堂をぐるっと回り込むと、本堂の裏側にも大きな石がありました。
この裏手の大石にも霊が取り憑いている、と言うのがもっぱらの噂とのことです。
そもそも、なぜこんなところに大石があるのか、ですが、昔その神社を作った人達が石に対して何か近しい生活をしていたため云々、という話を後々、先輩に聞かされました。ただ、正確な情報は謎なんだそうです。
そんな曰くつきの大きな石や本堂も、一応調査、ということでしたので、私たちはいやいやスマホでビデオを撮っていました。
その時でした。
『ゔぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
神社の裏にある石の方から、うめき声のような声が聞こえてきたのです。
「!!!!?」
私達4人は声を出すことすらできず、次の瞬間、車に向かって叫びながら猛烈に走りました。
「うわああああああああああああああああああああ!」
車に着いて、すぐに乗り込み、エンジンをかけてすぐにその場を離れました。
車内では誰も会話をせず、とにかくその場を離れたいの一心だったと思います。
そして最寄りのコンビニの駐車場へ入ったのです。
車がとまり、そこでようやく誰かが声を発しました。
『聞いてはいけない声を聞いた気がしたわ……』
『絶対に誰かのうめき声したよな?』
4人とも汗だくで、顔が引きつってることすら気付かないくらい切羽詰まる状態でした。
『動画見てみようぜ』
撮影した友人が動画を再生し、全員がそのスマホをがき込みます。
ただ、なぜか動画内には先ほどのうめき声のようなものは入っていませんでした。
私たちが思っていた以上にうめき声が小さかったのか、
それとも、私たちの聞き違いだったのか、
理由はわかりません。
しかし、合間に撮影した写真を見ると入り口と裏にあった大きな石には沢山の手形のようなものが写っているように見えました。
「ぅおっっ!!?」
その瞬間、声にもならないひめき声が聞こえ瞬時にその方向を見ると、
コンビニに飲み物を買いに行っていた先輩が何やらただならぬ表情で私たちがいる車内の方を見ているのです。
私たちは先輩の異変に気づき、とっさに車を降りて先輩につかづきました。
「どうしたんです?」
先輩に声をかけると先輩は車のボンネットを指差しているのです。
冗談のような話なのですが、
車のボンネットに、無数の手形がはっきりと残っていたのです。
汚れた手で触ったような手形が、無数に車のボンネットに着いていたのです。
その後、私たちは言葉少なに帰路につきました。
ビビリ神社はマジでやばい。
本当にそう思います。
幸いにも、その後、4人とも特に呪われたというような現象は起きていません。
今のところは。