【投稿者:片目の子猫さん】
『となりのトトロ』は、スタジオジブリが制作した宮崎駿監督のアニメです。
原作、脚本も宮崎駿監督が担当しています。
ご存知とは思いますが、ざっとストーリーを説明しておきます。
主人公はサツキとメイの姉妹です。
彼女たちの一家は、病気の母親の療養のために田舎に引っ越して来ます。
そこで、トトロという巨大な動物と出会います。
トトロは、ものすごく大きいけれど、犬や猫のように親しみの持てる動物です。
映画では、トトロと姉妹の交流を描いています。
トトロが利用している移動手段が猫バスです。
クライマックスでは、姉妹が猫バスに乗ります。
そこで主題曲が流れて…、実に素晴らしい……。
妹のメイが行方不明になって、「どうしたんだろう。大丈夫かな」というサスペンスの味付けもあります。
この映画のキャッチコピーは〈このへんな生きものは、まだ日本にいるのです。たぶん。〉です。
大人から子供まで幅広く楽しめる、心温まる映画です。
人気が高い作品だけに、都市伝説も数多くあります。
サツキとメイは死んでしまったのだ、という都市伝説があります。
映画の後半になると、サツキとメイの影が消えてしまいます。
死んで幽霊になったので、影がなくなったのです。
エンドロールでは、登場人物のその後が描かれています。
でも〈その後〉にしては、お父さんとお母さんが若すぎます。
つまりこの映画全体が、サツキとメイとお母さんが死んでしまった後の、お父さんの妄想なのだ、という都市伝説もあります。
そして、『となりのトトロ』には原典(ネタ元)がある、という都市伝説があります。
これについて、少し詳しく説明します。
私自身も、トトロの原典についての都市伝説には興味があり、いろいろ調べていました。
でも、成果はありませんでした。
そんな折、仕事でドイツに出張したとき、現地の同好のA氏から情報を得て、やっと分かったのです。
ドルイド教圏内で、アトランティス時代の太古から伝わっている伝説が原典だったのです。
先ず、順番として『グリム童話』から説明します。
『グリム童話』には、「赤ずきんちゃん」、「白雪姫」、「ヘンゼルとグレーテル」など、有名なものが多いですよね。
これらは、グリム兄弟が創作したものではありません。
『グリム童話』は、グリム兄弟がヨーロッパ各地の民話を収集し、整理したものなのです。
グリム兄弟の本職は言語学者です。
しかも、超一流でした。
現在のドイツ語文法の基礎を作ったのです。
彼らは、ドイツ語を検討・整備するために、ヨーロッパ各地の言葉や方言を調べました。
そのために、その土地の民話や伝説を収集したのです。
それらを整理して、ドイツ語の成り立ちや特徴を研究し、ドイツ語の現在の仕組みを構成したのです。
仕事が一段落すると、「民話や伝説を埋もれさせるのは勿体ない」ということになりました。
それで、子供にも分かりやすいよう修正にして、『グリム童話』が誕生したのです。
グリム兄弟の業績は立派なものでしたので、今度はグリム兄弟が研究の対象となりました。
後世の学者たちは、『グリム童話』とそれらのネタ元(原典)となる民話の比較研究を始めたのです。
その結果、原典の民話は、『グリム童話』よりも、はるかに残酷で不気味であることが判明しました。
グリム兄弟は、残酷さを薄めて、『グリム童話』にしたのです。
あまり残酷すぎて、グリム兄弟が没にした話も沢山あります。
そういう話の1つに、『コモリオムの姉妹』というのがあります。
ドルイド教圏内のドイツに伝わっていた(千年以上語り継がれてきた)民話です。
グリム兄弟が残したメモから、こういう民話があるらしいということは分かっていました。
でも、なかなか見つかりませんでした。
ところが(現地の同好である)A氏の仲間が偶然に発見したのです。
さて、『コモリオムの姉妹』は次のような話です。
昔々、ドイツの北のはずれに、姉妹が住んでいました。
ある日、妹が行方不明になりました。
悲しんだ姉は、ニグラスという魔女に相談しました。
魔女は、妹はコモリオムにいる、と言いました。
コモリオムへ行くには、ハスターという怪物に食べられなければなりません。
姉は、決心して、ハスターに食べられました。
ハスターの胃の中で消化された姉は、魂になってコモリオムへ到着しました。
そこで妹と再会したのです。
コモリオムには、イタクァという長身の怪物が棲んでいます。
日本流にいえば、地獄の鬼みたいなものです。
イタクァが、姉妹を奴隷にして、様々な拷問をしました。
この話の中心は、延々と続く拷問なのです。
スプラッターのホラー映画がお子様映画に思えるほどの描写が続きます。
グリム兄弟が没にするのも当然だと思いますね。
どうですか?
この話、『となりのトトロ』に似ていませんか?
ニグラスという魔女は、原典では不気味な老婆です。
それを、愛らしいトトロにしたのです。
姉が食べられたハスターという怪物は、巨大なネコみたいなモンスターだと描写されています。
『となりのトトロ』では、姉妹が猫バスに乗りますよね。
猫バスの原型がハスターなのではないでしょうか?
A氏から、『コモリオムの姉妹』の複製を借りて読むことができました。
直ぐに、これが『となりのトトロ』の原典だ、と直感しました。
ちなみに、2度と読みたいとは思いません。
コモリオムでの残酷描写は、思い出しただけでも吐き気がしてきます。
あっ、念のため申し上げておきますが、私はドイツ語は分かります。
ドイツの自動車メーカーと仕事をしているため、ドイツ語は必須なのです。
ところで、重要な疑問が出てきます。
宮崎駿監督は、この民話の存在を知っていたのでしょうか?
コモリオムに着いてからの残酷な話を一切カットして、トトロや猫バスを中心に据えて、『となりのトトロ』にしたのでしょうか?
もちろん、正式には「ノー」と言うと思います。
でも、知識欲が旺盛な監督のことですから、ヨーロッパへ行った時に『コモリオムの姉妹』を知った可能性はあると思います。
『グリム童話』から辿って『コモリオムの姉妹』に行きついたのです。
さすがに、中心の残酷描写は使えません。
でも、コモリオムへ行くまでの設定は、何か気になる……。
この設定、使えないかな……。
と思ったのです。
この推理には、別な証拠もあります。
コモリオムは、人類が誕生する以前の世界として描写されています。
鬱蒼たるジャングルであり、その向こうに不気味な城がそびえています。
コモリオムにいるイタクァという鬼は、ものすごく長身の怪物ということです。
こういうの、『天空の城ラピュタ』に似ていると思いません?
コモリオムの風景はラピュタの風景そのものです。
イタクァは、ラピュタのロボット兵です。
宮崎駿監督は『コモリオムの姉妹』を知っていたのです。
そのシチュエーションを『天空の城ラピュタ』に使ったのです。
そしてさらに、『となりのトトロ』を作ったのです。
以上が、『となりのトトロ』の都市伝説です。
それとも本当なのでしょうか。
信じる信じないは、あなたにお任せ致します。
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