【投稿者:よりのつさん】
友達の家に泊まりに行ったときの恐怖体験です。
友達の家に泊まることになった私。
「ずいぶんと大きな家だね」と関心するほど広い玄関と廊下に驚きつつ、部屋へと案内されました。
「あたしの部屋はここなんだ」と前を歩きながら話す友達が振り向いた瞬間、一番奥の部屋から黒い人影が出てきて、スッと横切ります。
「家族かな?でも、おかしいな…」黒い人影が向かった先は廊下を通り過ぎ、窓を通り越した庭だったのです。
「なんだか妙な胸騒ぎがする…」
友達は私を部屋に通すと「ジュースとお菓子を持ってくるね。待ってて」と部屋を出て行きました。
「ふーん、こんな感じの趣味だったんだ」とお洒落な部屋を見渡した私は、改めて友達のセンスの良さに惚れてしまいました。
そう感じた時「ゥウウウウッ」と女性の泣き声が聞こえてきます。
「え!な、なに?」声の方に目を向けると…花を描いた絵画から聞こえてきます。
私は妙に気になり、額縁を少し裏返して、仕掛けでもあるのかと調べようと思った瞬間「なにしてるの!そんなことしたら駄目だよ!」と凄い剣幕で怒る友達が部屋に入ってきました。
「あ、ごめん…」
「座って、お菓子を食べよう」と促す友達とお菓子を食べながら映画を観ようとソファに座ったとき、ガタガタガタッと絵画がまた震えます。
「うわ、なに!なに!」私は気持ち悪さと恐怖で硬直し、体が動きません。
友達はチラッと絵画の方を見ると「大丈夫だよ」と知らん顔。
「気にしないで」と話し出すとガタンッガタンッツと絵画が大きく前後に揺れて、壁に当たっています。
「怖い!」
「…」立ち上がった友達が絵画の動きを手で阻止して止めました。
「なにか妙な胸騒ぎがする」と感じた私は「ね、外で食事しようよ」と伝えます。
今日は外食をして、家に帰ったころは夜の22時を回っていました。
パジャマに着替えた私達は部屋の灯りを消し、ベッドに並んで話をしていると、いつの間にか寝てしまいました。
「ゥウウウウウーー」私は女性の鳴き声で目が覚めてしまい、それからはなかなか寝付けず、月明かりで見える天井をジッと見ていました。
ガタガタガタッ!!音のする方に目を向けると…「!!」白い着物を着た女性が絵画の横に立っていたのです。
真っ白な顔をした女性の所だけはっきりと明るく見えてしまう私は思い出しました。
「白装束…死んだ人が着る着物だ!」と。
「クックックックククッ」と不気味な笑い方をする女性はゆっくりと私たちの方へ近づいてきます。
スーッと空中を浮かぶように。
「うわ!」私は起きようとしたのですが、すでに金縛り状態で動けません。
「う、この幽霊って、怨霊かもしれない…」憎しみがこもったような恐ろしい顔を見て、いつまでもこの世で彷徨っている幽霊だと感じました。
その時、「そうよ」と言っていうような顔でニヤつく女性の幽霊は、私の首に両手を伸ばしてきます。
「助けて!助けて!」と声が出ない私は心の中でそう叫んだ時、スーッと黒い大柄な男の影が部屋の中に入ってきて、女性の幽霊の後ろから抱きつくようにして部屋から連れ出そうとします。
女性の幽霊は連れて行かれまいと必死に抵抗しますが、男の影は力強く引っ張り、部屋から連れ出します。
スッと金縛りが解けた私は部屋を出て、幽霊がどこに向かったのか後を追うと、一番奥の部屋に影が入っていきます。
恐る恐る部屋の襖を開けると大きな仏壇がありました。
黒い男の影と白装束を着た女性の幽霊は仏壇に吸い込まれるようにして、スーッと消えていったのです。
仏間の灯りをつけて仏壇を見れば、美しい女性と30代くらいの男性が写る写真がありました。
「その女性ね、お母さんの妹なんだ。その男性は妹の夫だったの」
友達がいつの間にか立っていて、悲しそうな顔で伝えてきます。
なんでも、妹さんは重い病で若くして亡くなってしまったことを親のせいだと感じたのでしょう。
たびたび幽霊となって現れては両親の首を絞めてしまう。
そんな矢先、旦那さんが交通事故で亡くなってしまった。
すると、妹さんの幽霊が夜な夜な出てくると決まって旦那さんの幽霊も出てきて、部屋から女性を連れ出すのだそうです。
「でも、どうして絵画から幽霊が出てきたのかな?」と友達に聞けば、「あの絵画はね、お母さんの妹が生前大事にしていたものなの。それを私が貰って飾ってるんだけど、亡くなって10年は経ったいまでも出るんだ。妹の幽霊が…」
「成仏してないんだね。思い切ってこの絵をお祓いして、捨てたら?」と提案すると「お祓いか…」と考えている様子。
その後、友達は家族と共に絵画を寺に持って行き、お祓いをしてもらったそうです。
すると、まったくあの幽霊と男性の影は出てこなくなったそうです。
その話を聞いて、ホッと胸を撫で下ろした私でした。