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【本当にあった怖い話】般若心経に救われた!?長野県伊那地方の”とある山寺”での心霊体験

山奥の仏像

【投稿者:片目の子猫さん】

みなさん『般若心経』というのをご存知でしょうか。

仏教のエッセンスをまとめた短いお経のことです。

私にとっては忘れられないお経なのです。

のちに命を救われる『般若心経』との出会い

私は、東京都大田区にある高校を卒業しました。

この高校は、いわゆる進学校で、猛烈に勉強させられました。

入学一ヶ月で英語の動詞の変化を丸暗記させられたり、早朝数学特訓などがありました。

そして、社会の時間に『般若心経』を丸暗記させられたのです。

仏教とはどういうものかを知るにはこれがいちばんいい、とのことでした。

実は、我々が卒業した後の話ですが、「特定の宗教のことをそこまでするのは如何なものか」と大問題になりました。

現在は、『般若心経』丸暗記は中止になったそうです。

さて、私は、日大商学部を卒業して、大手の不動産会社に入りました。

そして10年目のことです。

私は、後輩と一緒に、長野県伊那(いな)地方の過疎の村へ車で行きました。

そこにある山寺を査定しに行ったのです。

茅野市(ちのし)での別な仕事を終えてからだったので、その山寺に着いたのは夕方でした。

目的の山寺の中から出てきたのはボロボロの木像

そのお寺は江戸時代の中期に建てられたもので、もう何年も人が住んでいません。

ともかくも、ざっと中を見回りました。

固くなった扉をようやく開けて本堂に入ると、いちおう本尊の像はありました。

懐中電灯で照らしてみました。

実はその像が国宝級のもので……、ということだと話は面白いのですが、現実は、そう都合よくはいきません。

腐っているボロボロの木像でした。

顔が半分欠けています。

「なんだこれ」

「これじゃぁ、仏様じゃありませんね」

「どっちかというと悪魔じゃね?」

なんて、後輩と2人で冗談を言い合いました。

本堂を閉めて他の部屋を調べました。

本堂以外は、部屋が4つ、それに庫裡(くり ※キッチンのこと)がありました。

どの部屋もボロボロです。

庫裡の外には古い墓場が見えました。

予定では、この寺に泊まり、明日こまかい査定をすることになっていました。

なぜこんな寺を買うかというと、建物に使われている木が目的なのです。

古木というのは、最近人気があるんです。

もちろん、それなりに価値のある古木でなければなりませんが。

(不動産会社の最前線なんていろいろとブラックです。寝袋持参で物件に寝泊まりするくらいですから)

もちろん車には、寝袋や簡単な旅行道具が入れてあります。

ただ、誤算がありました。

隣町には雑貨屋などがあり、そこで弁当などを買える、とのことでした。

でも、ここの村は完全に無人となっていて雑貨屋もなにもありません。

私は、後輩に

「車で食料品を仕入れてきて。酒、忘れないで」

と命じました。

後輩は食料を調達しに隣村へ

ところが、太陽が沈むころになっても戻ってきません。

「あのバカ、何してるんだ」

その時、スマホが鳴りました。

後輩からの連絡では、コンビニのある町までようやくたどり着いたとき、車が故障したとのことです。

その町にあった修理工場に車を入れたところ、今日はもう店じまいしたから、明日修理する、とのことでした。

後輩は、その町にある旅館に泊まることにしたのだそうです。

ということで、私は山寺に独りぼっちです。

食料品なし、酒なし、寝袋も車の中でここにはない、という状態です。

もちろん、私も営業の最前線での10年選手です。

1日くらい食べなくても大丈夫ですし、背広姿で寝たこともザラにあります。

ただ、人里離れた山寺、というのが……。

人里離れた山寺。ひとりで一晩過ごすことに

昼間から曇り空だったのですが、とうとう降ってきました。

ボロボロの畳の上に座っています。

周囲は、じっとりと濡れています。

廃屋特有の臭いがします。

当り前ですが、電気が通じていないのです。

部屋の中は真っ暗になります。

懐中電灯は車の中。

明かりといえばスマホだけ。

でも、スマホの光は青、なんか不気味ですよね。

それでも、真っ暗よりはいいかな……。

私は、仕事のことを考えました。

この建物は雨漏りがあるようだから、古木も腐っていて使えないかな——。

スポーツのことも考えました。

何でジャイアンツは選手強化が下手なんだろう——。

しかし、どうしても、この山寺のことに考えが向かいます。

本堂の木像、顔が半分なかった……。

庫裡から見たら、外に墓場があったけど……。

何度も腕時計を見ますが、時間が進みません。

腕時計とにらめっこして——、ようやく——、午前零時だ——。

そのときです。

ガタガタ、という音が聞こえました。

私は飛び上がりました。

何だ!

本堂の方から聞こえる奇妙な物音。その気配は徐々に…

風でどこかが動いているんだ……。

古い家だから、それアリだよな……。

と、なんとか自分自身を納得させようとしました。

でも、それがウソなのは、自分自身がよく分かっています。

ガタガタ、という音は本堂の方から聞こえます。

本堂の戸を開けているんだ……。

ボロボロの木像が開けているんだ……。

あの腐りかけた木像が……。

顔が半分しかない木像が……。

俺が悪口を言ったから、それを根に持って……。

戸が開いたようです。

廊下に足音がします。

腐った板の間を踏みつける重い足音がします。

足音が、ゆっくりとこちらに近づいて来ます。

私は、心底、パニくりました。

この部屋の戸が開けられたら、何を見るんだろう……?

スマホを消すか……。

でも、真っ暗で、アレが入ってきたら……。

その時思い出したのが、高校の『般若心経』です。

もうそれしかない……。

その時頭にひらめいたのが般若心経

私は、必死で『般若心経』を思い出し、声を出して唱えました。

必死ですよ。

高校時代は、覚えなければ留年でした。

でも、今は、留年ですむどころじゃない!

高校時代のことですが『般若心経』を暗唱すると、必ず最初から1/4くらいのところで分からなくなりました。

その後は、3/4くらいのところで、また引っかかります。

そこを越えるとあとは楽でした。

ギャーテー、ギャーテーなんか、すらすら言えました。

それはともかく。

『般若心経』を唱えたのですが、もう17年ぶりのことですし、1/4のところで、先が続かなくなりました。

高校時代と同じところでストップです。

あれぇ、何だったけっなぁ——。

確か——。

部屋の外の廊下には、ズシリ、ズシリという足音がします。

もう必死!

ええと——、ちくしょぅ——、思い出せ——!

足音が近づきます。

そうだ!

ようやく思い出しました。

最初から、大声で唱えました。

足音が止まりました。

いいぞ——。

3/4のところで、またストップしました。

何だったけっなぁ——。

私は、校庭の鉄棒、暗記させられた教室、太った先生、友達、好きだった女の子、など、高校時代のことを必死に思い出しました。

なにか、『般若心経』を思い出すきっかけが欲しかったのです。

部屋の戸がガタガタいいます。

木像が開けようとしている……。

それは、緑のペンケースでした。

高校時代に使っていたペンケースを思い出しました。

そうだ!

それをきっかけに、『般若心経』も思い出したのです。

また最初から、大声で『般若心経』を唱えました。

今度は最後まで唱えることが出来ました。

唱え終わって耳を澄ませると、廊下に音がしなくなりました。

でも、木像がまだいる気配はします。

私は、また『般若心経』を唱えました。

もう完全に思い出しました。

何回でも言えます。

声の大きさなら、営業で鍛えてありますから誰にも負けません。

ちくしょぅ——、入って来るなぁ——、消え失せろ——。

……

いつの間にか眠っていたようです。

スマホの音で、はっと目が覚めました。

後輩からの電話です。

翌日の出来事と、後日談

「先輩、車の修理にあと半日かかるそうです。コンビニで何か買っていきましょうか?」

私は、腹が立ちました。

「コンビニはいいよ。それより、帰りの高速でおごってもらうからな」

「何がいいですか」

「先ず、ラーメン餃子、カレーライス、それに焼肉に……」

スマホを切って、気が付きました。

スマホでググれば『般若心経』はあったはずです。

必死で思い出すことはなかったのです。

でも、必死で思い出したから助かったのかもしれませんね。

この経験以来、私は完璧に『般若心経』を唱えられるようにしています。

ちなみに、あの山寺は、やはり古材の値打ちはなく、買い取りは中止になりました。

朽ち果てたまま、あの場所に今でもあるはずです。

確かめに行く気はありませんが。

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