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【本当に体験した怖い話】お父さんの友達

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【投稿者:半田ふみさん】

両親が離婚したのは、私が小学校2年生の頃でした。

父は家を出ていき、私は母と実家に残りましたが、父が出て行ってからも、「お父さんの友達」は時々私たちの前に現れました。

「お父さんの友達」は、良く言ってガテン系だった父とは違い、茶髪にパーマのややあか抜けた雰囲気の人で、私は悪い印象は抱いていませんでした。

「うちに父はいないのに何をしに来ているんだろう?」とは薄々思っていましたが…。

彼は大抵、我が家の玄関で母と話し、家には上がらずに帰ることが多かったです。

ある日、私の住む地域に台風が訪れました。

降雨量がとても多く、道路が浸かり始めていましたが、私はじゃぶじゃぶと水に足を突っ込みながら小学校に向かっていました。

私はひとりでした。当時、必ず誰かしらと学校に向かっていたはずなのに、どうしてひとりだったのか?という点は、今となっては思い出せません。

ふいに、パッパッ、と短いクラクションが聞こえました。

振り返ると車が低速で近寄って来ていて、運転席には「父の友達」が乗っていました。

「家まで送っていくから、乗って」と彼は言いました。

私はありがたく思いながら、助手席に乗り込みました。

しかし、ほっとしたのもつかの間、車はあらぬ方向に走っていくではありませんか。

不思議に思って運転席の方を見ると、「お父さんの友達」は「お父さんの家を教えて」と言うのです。

私は不思議に思いながらも、父の家まで道案内しました。

私は、離婚後も何度か父に会っており、父の家に行ったこともあったので、道を覚えていたのです。

やがて父の家の前につくと、「お父さんの友達」は「ありがとう」と言って引き返し、今度こそ私の家まで送り届けてくれました。

ことの真相が分かったのは、それから20年近くも経ってからです。

ある日ふと、母に当時の出来事を話すと、母は大きな声を出して驚きました。

何をそんなに驚くことがある、と思ったのですが、次なる母の一言が、私をゾッとさせました。

「その人、お父さんの友達なんかじゃないよ!」

…なんと、私がずっと「お父さんの友達」だと思い込んでいた人は、父の行方を捜していた借金取りだったのです。

当時少女だった私は、借金取りが運転する車にノコノコと乗車したのでした。

そして、理由の真相は分かりませんが、私が父の居場所を教えてしまって少ししてから、父とは音信不通の状態になってしまいました。

それ以来一度も父には会えていません。

父は今でも元気に暮らしているのか、

父が音信不通になってしまった原因は私にあるのか、

そして、あの時、車に乗った私は無事に帰らせてもらえたから良かったものの、もしあの人がもっとヤバい人だったら……、

想像するだけでもゾッとします。