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【本当にあった怖い話】もう1人の同居人

【投稿者:T.S.さん】

私が小学校3年生になった時、 家族で田舎に引っ越しました。

当時の私はやんちゃで、野原や森の中を男子に混じって走り回っていました。

ですが日暮れて、家に帰らなければならない時間帯だけは別でした。

夕暮れ時の私はいつも憂鬱で、友達にうざがられながらも、

「もうちょっと一緒に遊ぼう」と粘った事が何度もあります。

というのも、 家に帰るのが嫌だったからです。

古い2階建ての我が家に帰ると、

私はいつも父親か母親にべったりとくっついていました。

引っ越した途端赤ちゃん返りのような行動を始めた私に

両親は呆れていましたが、

私は真剣に「自分の身を守っている」つもりでした。

というのも、家の中で両親から離れた時、妙な事が起こっていたからです。

例えば夜中にトイレに入っている時、

あるいは廊下を1人で歩いている時など、

突然「後ろから髪の毛を引っ張られる」事があったのです。

しかも、ほぼ毎日。当然振り向いても、そこには誰もいません。

引っ越してきたばかりの頃は、何かの勘違いだと思っていました。

ですが、連日のように「それ」は私の身に起こりました。

トイレや廊下で突然、髪の毛を後ろから引っ張られ、思わずのけぞる。

それが繰り返されるうちに、

私は「この家には何かいる」という事を確信していました。

「髪の毛を引っ張られるだけ」とはいえ、

私は身の危険を感じ始めていました。

引っ越し直後は少しのけぞる位だったのですが、

1ヶ月くらい経つ頃には、尻餅をつく事もしばしばとなっていたので。

当然、 両親には訴えました。

しかし両親は、 笑いながら私の話を聞き流すだけでした。

「幽霊なんていないから大丈夫」と気休めの言葉をかけられるだけで。

引っ越してからしばらくは、まともに話を聞いてもらえませんでした。

私には1人、妹がいたのですが、

当時やっと2語文を話し始めた頃だったので、

味方にはなってもらえませんでした。

そもそも、家の中を1人平然と歩き回っていたため、

妹は私と同じような目に遭ってはいなかった様なのです。

私の訴えより、両親はむしろ妹の方を心配していました。

妙に落ち着きがなく、食事の時でもかまわず、

立ち上がってどこかへ行ってしまう様な感じだったので。

妹の心配ばかりされていた私は不満を募らせていましたが、

ある日事情が変わります。

私が小学校の課外授業で外泊していた時の事です。

授業が終わり、クラスメイトの皆で夕食をとっていました。

その食堂へ、担任の先生がやって来て私だけが呼び出されます。

そして、その担任の先生の車に乗せられ、

私は病院へと向かいました。

 先生に連れられて病院の一室に向かうと、

母がベッドに横たわっていました。

母の右足は天井から吊られており、

その足にはギプスがはめられています。

その状態で母は、しきりに父へ何かを訴えていました。

私が近付いていくと、母は私に気づいて手招きし、

そして私の手を握りながら涙を流して謝りました。

「信じてあげられなくてごめんね」と。

母が怪我をしたのはその日の夜、7時頃だったそうです。

階段を上っていると、突然後ろから髪の毛を引っ張られたそうです。

慌てて手すりにしがみつこうとするも間に合わず、

母は階段から転げ落ちました。

廊下で仰向けの状態となった母は、

訳もわからず、右足の痛みに顔をしかめます。

当然、辺りには誰もいません。

助けを求めるため、父を呼ぼうとしたそうです。

すると突然「笑い声」が聞こえてきたそうです。

微かな声であったため、はっきりとはわからなかったそうです。

ただし母には、「10代後半ぐらいの若い女性の声」と聞こえたそうです。

しかも「嘲る様な」感じだったそうで。

もちろんその家には、家族以外の同居人はいませんでした。

また田舎だったので、近くには老人しか住んでいませんでした。

それでも父は信じられなかったようですが、

母と私に懇願され、ようやく引っ越しを決意してくれました。

それから2日ほどで、急ぎ引っ越しの用意を済ませ、

私達はその町を後にしました。

「その家」には、わずか3ヶ月だけの滞在となったのです。

新しく引っ越したマンションでは、特に何も起こりませんでした。

ただし妹は、相変わらず家の中をウロチョロと歩き回っていましたが。

ある日小学校から家に帰ってくると、

母が食卓テーブルに突っ伏していました。

父はまだ帰宅していませんでした。

母の様子に違和感を覚えて声をかけると、

突然抱きしめられました。

驚いてじっとしていると、

母の震えが伝わってきました。

その当時ようやく会話ができるようになった妹が、

私たちの側に近づいてきたため、事情を尋ねました。

しかし、妹も「わかんない」と答えるだけでした。

しばらくして、母がようやく私から離れました。

「ごめんね」と言いながら。

私が事情を尋ねると、母はしばらくためらった後、

こう答えました。

その日の昼食時、妹が相変わらず立ち上がってウロチョロしていたので、

「座って食べなさい」と注意したそうです。

すると、妹はこう答えました。

「もう一人のお姉ちゃんはどこ行ったの?」