誰しもが一度は観たことがあるであろうジブリ作品、「風の谷のナウシカ」
この作品、専門用語が多く登場しますし、ストーリーがとても難解なのが特徴です。
そして、この作品には多くの都市伝説が存在し、そのどれもが聞くと背筋が凍るようなぞっとするものばかりです。
なぜそのような都市伝説が生まれたのか、その内容も含め詳しく解説していきます!
この記事を読めば物語の内容が今まで以上に理解でき、今まで見えてなかった本作品の真実の姿が見えてくると思いますよ。
「風の谷のナウシカ」の都市伝説はなぜ恐ろしい都市伝説ばかりなのか?
「風の谷のナウシカ」という作品はとてもやっかいな作品です。
というのも、この作品自体原作は宮崎駿監督が自ら手書き上げた漫画が原作なのです。
そして、この作品は「アニメ化できない作品」として描いていたためストーリーの設定が非常に複雑で大人が観ても理解しづらいところが多々あります。
「善悪の概念がない」「目をそらしたくなるような厳しい設定」「悲劇のヒロイン」など
大人の読み物として作られた要素が多い作品です。
なので、その要素がそのまま映画に反映されたので不気味かつ恐ろしい都市伝説が生まれました。
まずは、主な都市伝説をいくつか紹介します。
「ナウシカ人造人間説」
こちらは原作でしっかり描かれているのですが、ナウシカは人造人間として造られました。
ただし遺伝子を改造されたものなので人造人間というよりかは「改造人間」に近いです。
これはアニメ版しか見ていない人は知らなかった設定なのですがとても悲惨な事実です。
なぜナウシカが人造人間として造られたかというと
人類同士の絶えることのない戦争により有害物質で汚染されてしまった世界を浄化する役割として「巨神兵」を使い世界を焼き払う「火の七日間」が終わり世界の有害物質を浄化する中和装置として腐海(ふかい)・蟲(むし)を使い長い年月をかけて世界の浄化をしていくのでした。
しかし、世界の浄化までに数千年かかるため人類は人口冬眠することにし、浄化後に人類を冬眠から目覚めさせる役割としてナウシカが造られたのです。
ナウシカの身体は浄化のため腐海が広がっていく世界でも生きられるように毒に対する耐性は高いが浄化された世界の大気が逆にナウシカにとっては猛毒となるため必然的に世界の浄化が終わると同時にナウシカの命も終わるという悲劇のヒロインとなっているのです。
「風の谷のナウシカの舞台火星説」
こちらは完全な都市伝説ですが本作の舞台が火星ではないかと噂されています。
まず、世界がかなり荒廃した世界なので地球とは思えないことに始まり、火の七日間
の「火」が火星のことを表しているのではないかと考えられたりしています。
そして、一番有力な説として劇中に登場している乗り物の「メーヴェ」の翼が小さすぎて
あのサイズなら地球の重力なら飛行は不可能であり、火星の重力は地球の三分の一なので飛行が可能になるということです。
「風の谷のナウシカは近未来の予言書説」
2020年、世界的に大きな変化が起こりました。
「新型コロナウイルス感染」
突如として現れたウイルスが世界的に感染拡大し人類の生活が大きく変化しました。
東京オリンピックの延期、世界の大都市でロックダウン、スポーツ・ライブ観戦の無観客試合、無観客ライブ、そして日本での緊急事態宣言。
誰が想像できたでしょうか?
しかし、現在のこの世の中を想像したかのように描いたのが「風の谷のナウシカ」なのです。
まず、一番のキーワードとなるのが「腐海」です。これは現在の「新型コロナウイルス」に置き換えることができます。
世界的に蔓延している部分や、マスクなしでは生きていけない部分がまさに一致しています。
また、「遺伝子改良した生命」に関しては、現在ではAIやロボットのように化学が発展し人間が作り上げてきたものです。
「腐海」「遺伝子改良した生命」この二点に注目すると現在の科学の技術の発展と同時に「新型コロナウイルス」の感染拡大により生命の在り方について考えさせられてしまいます。
「腐海」は劇中では世界を浄化する役割ではあるが言い換えれば汚れや争いは無くなるが感情を持たないロボットや機械だけが存在する世界になる、現在では「新型コロナウイルス」により人類がいなくなりAIやロボットだけが存在する未来を予言しているのではないかという意味なのかもしれません。
「風の谷のナウシカ」の余談・裏設定
ここからは都市伝説以外の裏設定や裏話を紹介します。
「ナウシカとラピュタの世界線同じ説」
「天空の城ラピュタ」に登場する「ラムダ」というロボット兵が「風の谷のナウシカ」に登場する巨神兵に酷似しています。というのも、この二つのキャラクターのデザインしたのが「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な庵野秀明監督なので似ているのも無理はありません。
しかし、「ラムダ」「巨神兵」どちらも古代文明の遺産という位置づけは同じなのでなにか繋がりがあるのではないかとファンの間で語り継がれています。
「ナウシカのモデルは二人の姫からきている」
モデルその1「ナウシカア王女」
ナウシカの名前の由来となったのがギリシャ神話に登場するナウシカア王女であると宮崎駿と高畑勲の対談で話されています。
ナウシカアとナウシカの共通点が「人への優しさ」を忘れない部分があり、どちらも自分の気持ちよりも誰かのために動くことが原動力だったようです。
モデルその2「蟲愛づる姫(むしめづるひめ)」
こちらは平安時代の物語集である「堤中納言物語(つつみちゅうなごんものがたり)」に登場する主人公・蟲愛づる姫だともいわれています。
気高き美しい姫にもかかわらず化粧もせず可憐なものを好まず、唯一「毛虫が好き」という変わった性格の姫君でした。
彼女は「自然」を愛し、見た目の先入観を持たず自然体の素顔でいるのが一番の「自然」ではないかと考えていました。
蟲への愛や見た目にこだわらない部分などがナウシカに似ていると感じとれます。
「映画の内容は原作漫画のほんの一部でしかない」
「風の谷のナウシカ」の原作は、1982年から1994年の12年間アニメ情報誌「アニメージュ」にて連載していました。
映画は、1984年に公開されましたが公開にあたり連載は一時中断となり映画の内容も連載途中ということもあり単行本2巻中盤までの内容に加えた物語となってしまいました。
その後単行本は全7巻まで刊行されました。
連載途中での映画公開になったということで宮崎駿は当初は映画化に反対されていました。
というのも、宮崎駿は当時アニメーションの仕事から遠ざかってたこともあり「風の谷のナウシカ」の映画化が企画に上がった際にアニメーションを久しぶりに作りたい思いからつい企画を通してしまったと当時のテレビのインタビューで話されています。また、「風の谷のナウシカ」はもともと映画化するために作られてはいないので映像の描写がとても難しいと考えられておりました。また、原作が完結していないものを映画の中で一度起承転結をつけなければいけない、制作が難航するのではとも考えていたようです。
そして、いざ映画公開されると観客動員数は91万人、配給収入は7億円。当時のアニメ映画としては大ヒットとまでには至りませんでした。
しかし、翌年のテレビ放映により多くの人に認知されその後のソフト販売・レンタル販売では一般映画に並ぶ記録を打ち出しました。
オリコンランキングでは、1997年販売のVHS版、2003年販売のDVD版、2010年販売のBlu-ray版にて各部門1位を獲得しており史上初同一作品3部門制覇を成し遂げています。
宮崎駿監督は当時のインタビューで映画の評価を「65点」と厳しい評価をしています。
この評価は作品に対してというよりも自分自身への評価と語っており、「何か大事な部分を落っことしたまま上っ面のクリスマスの奇跡映画のようなものを作ってしまったな」と。
不完全な状態で作ってしまった自分への戒めも込めての評価だったのかもしれません。
「風の谷のナウシカ」はジブリ作品ではない
ジブリ作品の代表作は?と聞かれれば誰もが「風の谷のナウシカ」と答えるでしょう。
しかし、実は本作はスタジオジブリ作品ではありません。
スタジオジブリが設立されたのが1985年、「風の谷のナウシカ」が公開されたのが1984年とジブリ設立の1年前でして、「風の谷のナウシカ」の作品はスタジオジブリの前身となる「トップクラフト」というスタジオ作品なのです。
「トップクラフト」という会社は海外作品の下請け会社として設立され後に「天空の城ラピュタ」を制作時に「スタジオジブリ」へと改名しました。
クシャナとナウシカの名前には秘密がある
作品の登場するクシャナの名前はナウシカのアナグラムで構成されています。
ナウシカ:NAUSICAA
クシャナ:CUSIANAA
ナウシカとクシャナの関係性に対して意味が込められているのか、物語の終盤でクシャナはナウシカに影響されていった印象があるのでそれが関係しているのかもしれません。
「新世紀エヴァンゲリオン」は「風の谷のナウシカ」の続編である
まず、「風の谷のナウシカ」という作品に作画担当していた一人があの有名な庵野秀明監督です。特に巨神兵がオームに対してビームを放つシーンは庵野秀明監督が担当していたのです。
そして、「風の谷のナウシカ」公開後、庵野秀明はぜひ続編を描きたいと望んでおりジブリの鈴木敏夫プロデューサーも庵野秀明に続編をやらせてみたかったと思っていましたが、それを宮崎駿監督が拒否してしまいました。
後に、庵野秀明監督としてナウシカの続編への想いを今のエヴァで表現しているのではないか、完全な続編というものではないが庵野秀明監督の扱うテーマとしては続編と言えるのではないでしょうか。
「風の谷のナウシカ」の本当のクライマックス
映画のストーリーは原作が途中であったため内容の大幅な変更や中途半端な終わり方をしていますが、原作のラストは唖然としてしまうほどの衝撃があります。
ナウシカは自身が世界の浄化のためだけに作られた人造人間であると知るとある行動に出ます。
人類は「新人類の卵」として人々が争いもなく平穏に暮らせるようなシステムを作り上げていました。
ナウシカはそのシステムをすべて破壊してしまうのです。
旧人類が平和に生きていけるように用意していた新しい世界の可能性を自らの手でなくしてしまい文字通り「新世界の破壊者」となってしまいます。旧人類の努力を台無しにしてしまうのです。
ジブリファンからすると大変ショックな結末に感じることでしょう。
しかし、このナウシカの行動にも意味があるのです。そのナウシカの真意を知りたい方は是非原作を読んでみてください。
映画と原作を比べてみても楽しい!「風の谷のナウシカ」の良さを再認識してみよう。
映画「風の谷のナウシカ」は今まで何度もテレビで放映されてきた不朽の名作です。
また、今年はリバイバル上映もされて足を運んだ方はあの感動をスクリーンにて味わうことができたことでしょう。
公開されてから30年以上たっても色あせない本作、今となってはジブリ作品の基盤となりました。
さまざまな都市伝説や裏設定があり原作と映画を見比べるのも楽しいかもしれません。
何度見ても新たな発見ができるとても素晴らしい作品、今一度見てはいかがでしょうか。