【投稿者:芝猫さん】
これは、私が大学4年生の頃に体験した奇妙な出来事です。
就職活動も内定が決まり、あとは卒業に必要な単位を取得するのみでした。
私はいつもと何ら変わりない状況で講義を受け、顔を前に向いたままボケーっとしていたのです。
そんな折に架かってきた一本の電話……。
架かってきた電話の正体
講義が始まり10分くらい経過したときに、いきなり携帯(ガラケー)がブルっと震えました。どうやら着信があったみたいです。
教授の目を盗みながら画面を開いて確認してみると、そこにはT君(友達)の名前が……。
ここまでは普通のことなのですが、その着信が異様に長かったのです。
留守番電話に切り替わる2分間の間、ずっと鳴っていました。
これが何回も続きます。さすがに緊急事態だと思い、講義室後方のバルコニーに通じるドアから外に出ることにしました。
ちょうど隣で座っていたSさん(友達)も「暇だから」という理由で一緒に出てきました。
どうせ大した事はないだろう……そう思いながらもどこかで恐怖を抱いているような複雑な気持ちで画面を耳に当てます。
すると「◯◯(私の名前)どうしたの?大丈夫か!?なんで反応しねぇの?」と勢いよく聞こえるT君の声が……。
電話に出ると、何やらただ事ではない雰囲気が
ここからは当時の会話の流れをそのまま記載したいと思います。
T君「なんで反応しねぇの?」
私「今民法受けてるんだよ。反応って何のこと?」
T君「民法?……ってことは授業?」
私「そう。」
T君「変だぞ!だって◯◯(私の名前)目の前にいんじゃん!!」
仮に同じ講義室にそのT君がいるのなら、わざわざ電話をかけてくることはないはず……そう思い次の質問をしたのです。
私「今どこ?」
T君「池袋……東口の!」
私「ちょっと待ってて!」
ここで私が大学にいると言う証拠を示した方が早いと考え、一緒に講義室を抜け出してきたSさんに電話で話してもらおうと考えました。
Sさんも隣で話を聞いていたので何となく事の不可解さに気がついている模様。
Sさん「もしもしT君?どうしたの?」
T君「あれSさん?Sさんも大学にいんの?」
Sさん「そうだけど……。」
T君「なら、俺の目の前にいるのは誰なんだよ!」
どうやら話の流れ的にはT君のいる池袋駅にはもう一人の私がいるような感じになっています。
ただ私は大学の講義室(厳密にはバルコニー)にいますから、T君が見ている私のようなもうひとつの存在は私ではない、つまり私の分身であるドッペルゲンガーと言ったところでしょうか。
そこで突如T君が「あっ!!」と受話器越しに声を発します。
どうやら私に似た何かは改札の奥の方へ去ってしまったようです。
その後、T君に詳細を事情聴取することに
このままだと気持ちのモヤモヤが取れないばかりか、自分の分身がどこかにいるのではという不気味さを払拭することはできません。
講義が終わったあとにT君と池袋で合流し、話を聞くことにしました。Sさんは午後に教職の講義があるのでそこでお別れです。
午後2時頃、T君と池袋某所にある車の展示場(現在は退去)で待ち合わせをし、話を聞くことにしました。T君によると、今回の経緯は以下のようになるそうです。
- 池袋駅西武池袋線改札口にて私(のドッペルゲンガー)に遭遇。改札を挟んで向こう側にいる図式になります。
- 私(のドッペルゲンガー)に話しかけるも無視されたので、T君は電話で通話をすることに。
- 私(のドッペルゲンガー)が電話に気づき、携帯を確認。
- 携帯を耳に当てるも、なぜかT君の方を見たまま動かず。
- T君の着信に対して私が受話モードに。ここからは私とT君、そしてSさんの上記会話。
- 私(のドッペルゲンガー)はT君を向いたまま見ているので、その時点でT君は私の分身だと気づかず。
- 私の大学にいるアリバイがSさんによって証明。目の前の私(のドッペルゲンガー)に困惑。
- その後改札の向こうに携帯に耳を当てたまま移動。その際、口もとだけ笑い、目は笑っていなかったので変な雰囲気だとT君は感じる。
- 午後2時頃、私とT君が合流。
と言った流れです。
あとで色々調べたところ、この現象はドッペルゲンガーに近いという事が分かり、身の毛がよだつ思いをしたことを今でも覚えています。
ドッペルゲンガーとは?
ドッペルゲンガーとは、自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種で、「自己像幻視」とも呼ばれる現象である。自分とそっくりの姿をした分身。
(中略)
ドッペルゲンガー現象は、古くから神話・伝説・迷信などで語られ、肉体から霊魂が分離・実体化したものとされた。この二重身の出現は、その人物の「死の前兆」と信じられた。
wikipediaより引用
そして、この話にはまだ続きがあるのです。
ドッペルゲンガー後日談
実は、ドッペルゲンガーらしきものに遭遇した2日後交通事故にあってしまいました。
私は自転車に乗っていたのですが、一時不停止の右折車にひかれたのです。
幸いにもケガはかすり傷程度で済みましたが、自転車は前輪と後輪がへし曲がって接触するほど変形し、この事故の大きさを物語っていました。
後付けかもしれませんが、調べたところによるとドッペルゲンガーにはその出現方法によって2つの意味をもつそうです。
自分自身のドッペルゲンガーを本人が見てしまったときは、その人の死期が近いことを表し、自分以外の誰かが見たときは、その人の身に危険が迫っていることを知らせる守護霊のような働きがあるそうです。
今回の私は紛れもなく後者、そして2日後の交通事故………もしかしたらって思うと、あれは守護霊だったのかもしれませんね。