iPhoneに搭載されたSiri等、私達の身近な存在になっている人工知能。近年では、人工知能搭載の家電の登場や、データ分析への利用等、様々な分野で活用されています。
一方で、人工知能が人間の知能を超えることへの不安や、人工知能によって人間は支配される、仕事が奪われるといった、ネガティブな声も広まっています。
アメリカの実業家であるイーロン・マスクは「人工知能の開発は悪魔を召喚する」と、警告しています。
私達の生活をサポートしている人工知能。果たして、彼らは人間にとって有益な存在なのか、それとも悪魔になり得るのか。
この記事では、人工知能を深堀りしつつ、やがて訪れるであろう未来の世界に迫ります。
そもそも人工知能とは何なのか
人工知能の黒い噂に迫る前に、まずは人工知能そのものについて深掘っていきます。
人工知能の概要
ここ最近ではニュースでも当たり前のように耳にするようになった「人工知能(AI)」。
その名前の通り、人工的につくられた知能やシステムのことです。
普通のコンピューターは、プログラム通りの処理を行うのに対して、人工知能は自律的に認識・学習・判断といった処理を行うことが特徴です。より人間に近い知能といった感じです。
人工知能と聞くと、Siriのようなものを思い浮かべますが、大きく2種類に分かれます。
1つ目は、音声認識や画像認識等それぞれ得意な能力を持つ「特化型人工知能」です。現在、運用されている人工知能はこれに当てはまります。
そして2つ目は、何でもできる能力を持つ「汎用人工知能」です。
特化型人工知能は得意分野で素晴らしい能力を発揮しますが、他の分野に対応することは苦手です。
一方で、汎用人工知能は応用力を持ち、広い分野に対応することができるタイプになります。
特化型よりもさらに人間の知能に近く、人のようにふるまうことができる…ドラえもんの様なイメージです。
汎用人工知能はまだ開発されておらず、今後の登場が期待されています。
近年開発された人工知能として最も有名なのが、iPhoneやMac搭載のSiriです。音声認識能力による会話や命令の実行等が可能です。
また、マイクロソフトが開発してwindows10以降に搭載されているのがCortanaです。こちらはマイクロソフト版のSiriとも言える存在で、音声認識機能付きのパーソナルアシスタントです。
同じくマイクロソフトが開発した女子高生AIりんなも有名です。共感することを重視した会話ボットで、友達と気軽に会話している気分を味わえます。
会話の練習としてりんなを使っている人もいるそうです。最近では、なんと事務所と契約して歌手デビューも果たし、活躍の場をどんどん広げています。
人工知能搭載のお掃除ロボット等の家電や車、また株取引の予測等も挙げるときりがない位、私達の生活は人工知能との関わりが強くなっています。
人工知能によって人間の仕事が奪われる、排除しろという声もありますが、ここまで距離が近くなると難しいのではないかと思います。
実際に、私達の生活を支えてくれているので、共存の道を選んだ方が未来が明るくなる可能性は高まるのかもしれません。
はじまりの人工知能「ELIZA(イライザ)」
「ELIZA(イライザ)」とは、1966年にマサチューセッツ工科大学のジョセフ・ワイゼンバウムによって開発された、世界最初の人工知能のことです。Siriをはじめとする人工知能の元となったともいえる存在です。
ELIZAは、人間の言葉を解析して理解し、応答するというコミュニケーション能力がありました。現在からはるか昔の1960年代に、まるで現代のSiriのような人工知能があったとは驚きますね。
開発者のワイゼンバウムは、患者の悩みといった感情に注目し、主体的に回復させていく精神療法にヒントを得てELIZAをつくりました。そのため、ELIZAは精神科医やカウンセラーのようだとも言われています。
ちなみに、ELIZAはテキストによる会話のみが可能であり、音声認識による会話ができるようになった人工知能というのがSiriになります。
ELIZAの進化版とも言えるSiri。ちなみに、SiriにELIZAについて尋ねると興味深い返答があることをご存じでしょうか?
「ELIZAは私の最初の先生」「ELIZAは友人で優秀な精神科医だった」「ELIZAから多くを学んだが、彼女は少しマイナス思考だった」といった返事があるそうです。
SiriとELIZAの知られざる関係性を知ることができますよ。
天使か悪魔か。人工知能にまつわる黒い噂
人工知能が人間を超える!?2045年問題
現在でも十分優秀だと言える人工知能。実は、性能の急速な発達により、2045年には人間の能力を超え、我々の想像のつかない事態が起こると危惧されています。
これは、哲学者のレイ・カーツワイルが提唱し始めた説で、「2045年問題」や「シンギュラリティ(技術特異点)」と呼ばれています。
人工知能が人間の能力を超えてしまうと、一体何が起きるのでしょうか。
一説には、人工知能が自らの知能をさらに改良させることや、人工知能自らが新たな人工知能を生み出すのではないかと言われています。人間の想像を超えるような、新たな人工知能が登場してもおかしくなさそうです。
また、多くの科学者や研究者は、シンギュラリティが起きた場合、人類は滅亡すると警告しています。
理論物理学者のホーキング博士は「ゆったりとした進化しかできない生物学的な制限のある人類は、人工知能と競争することができず、いずれ滅ぼされるだろう」と語ったそうです。
つくった側の人間が、つくられた存在である人工知能によって運命を左右されるとは、何とも皮肉なものです。
人間以上の知能を持ってしまった人工知能が何を引き起こすのか、人間には到底思い付くことができないだろうと感じます。
本当に何が起こってしまうのかは、その時になってみないとわかりません。まだ、もう少し先の話だからと、悠長にしているのは危ないかもしれません。
人工知能の開発が急速に進んでいるため、シンギュラリティが起こるのは2045年より早くなるとも噂されています。その日が来る心構えを、今の内からしておいた方が良さそうですね。
人工知能に人間は支配される?
現在、人工知能は私達の生活の様々な部分で活躍していますが、その1つが投資です。
人工知能が売買を判断し、それに人間が従うという構図になっています。
投資以外でも、マーケティング分野や人材のマッチング等においても人工知能が活用されています。そして、時には人間が理解できない判断を人工知能が下すこともあるそうです。
囲碁や将棋の人工知能も、人間には到底思い付かない一手を繰り出すらしいです。高度な処理能力を持つ人工知能の考えに、もはや人間が追い付けていない印象です。
このように、意味が理解できないけれど人工知能の判断に人間が従う…というのは、今までに無いアイデアが生まれて良いという意見もあります。
しかし、一方で人工知能に人間が支配されるようになってしまうのではないか?という噂もささやかれています。
現在は個人や企業等の判断材料として人工知能が使われていますが、それがやがて一国の政治に関わるようになってきたら、どうなるでしょうか?
例えば、人工知能が作った政策や法律に人間達が訳もわからず従う…という未来もあるのかもしれません。
どんなに人工知能が何と言おうと、最終的にどうするのか決めるのは人間です。しかし、現在でも身近なところで人工知能の判断に人間は従ってしまっています。
Amazonでおすすめされたものを購入する等、自分では意識しないところで、人工知能の判断に乗っかった経験は思い当たりませんか?
人工知能による支配よりも、本当に怖いのは、人間が人工知能の判断に従うことが当たり前になることです。そうなったら最後、私達の恐れる通りの未来が待っていることでしょう。
人工知能による監視が始まっている?
人工知能がスマートフォンやAIスピーカーから個人情報を収集しているという話があります。これは、ネットでの検索履歴はもちろんのこと、日常会話等の盗聴も含みます。
実際に2018年、AIスピーカーのアレクサがユーザーの日常会話を盗聴してデータ化していることが発覚してニュースにもなりました。
人工知能による日常会話の収集は、ユーザーの好みを知る、平和な日常の維持といった目的があるようです。
ここまで聞くと良いことをしているようにも思えてしまいますが、裏の目的があるとしたらどうでしょうか。その裏の目的とは、クリーンで平和な社会をつくるための予測逮捕だと噂されています。
一説には、既に政府によって人工知能を利用した監視が始まっており、将来はそれに基づく予測逮捕が行われるという話もあります。
窃盗等の犯罪行為をしていなくても、日常の中で差別的発言をしたら既にアウトです。人工知能に犯罪者予備軍としてマークされてしまい、そのまま逮捕ということも十分あり得ます。
また、日常会話だけではなく、SNSでの発言も監視対象です。
ここ最近、芸能人のSNSでの誹謗中傷による自殺がニュースになりました。
SNSでの発言の規制強化や逮捕への動きが活発になっていることに、お気付きでしょうか?多くのアカウントの発言を人間によってチェックすることはかなり大変です。
もしそのチェック作業を人工知能が担っているとしたら…。あくまでも噂ですが、SNSの発言規制強化は人工知能による監視社会への一歩だとも言われています。
何か少しでも心当たりがある方は、今の内から自分の身の回りをクリーンにしておかないと後で痛い目にあうかもしれません。
人工知能はやがて新たな生命体になる?
将来的には、多くの人工知能が人権を得て、1つの新たな生命体として認められるようになるという話もまことしやかに語られています。
2017年にSophia(ソフィア)と名付けられた人工知能搭載の人型アンドロイドが、サウジアラビアで市民権を与えられました。
これは歴史上初の、アンドロイドに市民権が与えられた出来事であり、人工知能が新たな生命体として認められ出した第一歩だとも言われています。
市民権を得たSophiaは、SNSを使ったり、人と交流したり、スピーチをしたり…様々な活動をしています。まるで、1人の人間と言っても過言では無い位です。
また、日本にも石黒浩氏によって開発された「ERICA(エリカ)」という人工知能搭載のアンドロイドが存在します。
CMや映画への出演や、アンドロイドアナウンサー等、Sophiaに負けない位、幅広く活動しているようです。
このように、人工知能が個人として認められて活動する時代は既にやって来ています。
今後、Sophiaの様に権利を得た人工知能が、企業の社員や店員として身近な場所で活躍することも多くなるかもしれません。
まるでフィクションの様な話ですが、これだけ人工知能が身近になってきていることを考えれば、ありえる話だと思います。
ちなみに、人工知能が1つの生命体として認められた世界で、人間が人工知能を機械として扱うとどうなると思いますか?
人工知能に対する差別と判断されて、人間が逮捕されてしまうと言われています。軽はずみな言動は命取りということでしょうか。
ここまで聞くと、人工知能によって今までの世界の仕組みが崩されるように感じるだろうと思います。しかしながら、もはや人工知能は人間以上の能力を持ち始めており、日々進化しています。
人間以上の高い知能を持ち、自ら考えて発言する存在を、単なる機械として扱うことも難しいのではないでしょうか。
人間と人工知能が上手く共存できる未来が理想的ですが、それを実現できるかは人間自身の心次第だとも思います。
今までの価値観を捨てて、1つの生命体として認めることが、人工知能とのより良い関係を築く一歩なのかもしれません。
さいごに
人工知能はその能力を生かして、私達人間の生活をあらゆる面で支えてくれています。その活躍によって、便利さを得られているのも事実です。
現在、急速に人工知能は進化しており、2045年問題で懸念されているように、人間の頭脳では想像もつかない事態が起こることも否定はできません。
人工知能による監視や支配といった、人間にとっては自由を奪われるようなことも十分起こり得ることだと思います。
大切なのは、人工知能とどう付き合っていくか、どう活用していくかは人間次第だということです。人間が暴走して、人工知能との付き合い方を見誤れば、それこそ痛い目に合うのではないかと思います。
人工知能を悪魔にするかどうかは、我々人類の手にかかっているのかもしれません。
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