「この世界の支配者」は存在する。
世に出ている情報を自分で調べたり、考えたりすることなく、この支配者によって世界のあらゆる出来事を操作されている人類の99%が「愚民」である。
真の情報を掴み、支配・統制からの解放を得るため闘わなければならないという強烈なメッセージが本書には書かれている。
このような考え方は、「陰謀論」として片づけてしまうことが多いが、まったくもってバカバカしく、これほど好き勝手されていながらそれを都市伝説のように扱うのはあまりにも情報弱者であると著者は述べている。
著者は、内科医でありながら「医学不要論」や「薬が人を殺している」など、一般的な医療の常識とは異なる視点の本を多く執筆している内海 聡氏である。
本書ではこの支配者のことを〈彼ら〉と表現している。
〈彼ら〉を表現する際に、多く取り上げられる組織に「ユダヤ勢力」「イルミナティ」「フリーメイソン」「三百人委員会」「CFR」などの組織が挙げられるが、個別の組織は重要視しておらず、だれが支配しているかよりも、どのようなシステムの中で支配を受けているかを重要視している。
また、陰謀論によく世界を牛耳っていると噂される、ロックフェラー家やロスチャイルド家が有名であるが、そのほかにも世界に大きな影響力を与えている「一三血族」がいるという。
この「一三血族」でさえ支配体系の中では部長クラスであり、その上の血族やさらに最上部に位置する何者かが存在すると考えなければ、きわめて表面的な組織しか見えない。
世界中に張り巡らされた〈彼ら〉の支配システムの構造を考えなければ、ものごとの根幹が見えないと述べている。
陰謀論で語られることの多い、組織や血族が支配者層の最上部ではなく、さらに多くの支配者層が存在するとの考え方は、非常に興味をそそられる部分であったが、そう考える根拠については深く触れられておらず、「調べれば容易に解かる」「〈彼ら〉の思惑を想像すれば解かる」と述べられている。
明確な根拠となる情報が欲しいが、そう考えるのは、私が自ら考える事のできない「愚民」だからであろうか。
〈彼ら〉の支配は様々な分野や出来事のなかで多くの関りを持っているが、その中でも非常に恐ろしいと感じたのは「油の支配」と「水の支配」である。
油を支配するとなぜ世界をコントロールできるのか?現代医学の主要な薬のほとんどが石油精製物質であり、農薬や食品添加物の多くも石油精製物質である。
現代の日本では、日持ちが長く、清潔でカラフルな食材が食卓に並ぶ。
しかし、その背景には農薬や食品添加物が多く存在する。
身近なものでも、ゼロカロリー飲料は糖分やカロリーを制限できるために健康的なイメージを持つが、人口甘味料は糖尿病の発症をもたらす報告もある。
しかし、そのような情報が世に出ることは少ない。
石油で作った、食品添加物によって人間の健康は損なわれ病気になり、病院に行けば石油で作った薬剤で治療を行う。
油を支配している支配者層は、情報をコントロールするだけで大きな収益が得られる。
水に関しても、私が幼少期のころは誰もが蛇口から流れる水道水をガブガブと飲んでいたものだが、いつの間にか水道水は危険であるとのイメージを刷り込まれ、ミネラルウォーターやウォーターサーバーが当たり前に売れる世界となっている。
生活場面でも〈彼ら〉の支配は及んでおり、世界中で起こっている戦争も意図的に仕組まれたものであると本書では述べられている。
しかし、著者自身が「本書に書かれていることをすべてうのみにしないことが重要」であると述べており、情報に洗脳されることなく、自分で調べ、自分で考え、自分で選択し、自分で責任を取ることが重要であり、そのことを実践できるようになることが、〈彼ら〉にだまされないために必要不可欠であると思う。
・タイトル:99%の人が知らないこの世界の秘密 <彼ら>にだまされるな!
・著者:内海聡
・出版社: イースト・プレス (2014/2/4)
・ジャンル:陰謀論