殿堂入り都市伝説はこちら!

【ゾッとする話】鳥獣保護区にご用心

【投稿者:はっちゃんさん】

始まりは五月初旬、政令指定都市内にある公園沿いの道路を自転車で走っていた時の事。目が合ってコンマ数秒で鋭く目の前を風切って正面から突撃してきた漆黒の影。
思わずハンドル操作を誤りよろけながら足を着いた私を見下したような一鳴き。「かあ、ががっ」
とんでもない殺気でした。すんでのところで直撃を逃れましたがあのぶっとい嘴は間違いなくこちらの顔面を狙いすましていました。どうやら状況から察するに子育て期で気が立っているカラスの巣の下を通ってしまった上に、カラスと同じ黒づくめの恰好だったので完全に敵認定を受けて攻撃された模様。
邪魔して悪かったね、と一声かけてその後はしばらく木立の近くは通らないように気を遣っていたのですが……。
麦わら帽子が必須の八月。暑さを和らげるために木立の下を自転車で走行中、後頭部に鋭い一蹴り。そして目の前を通り過ぎる漆黒の影。
「またか……。」
帽子をかぶっていなければ脳幹近くの危ない場所を鋭い爪で攻撃される所でした。そして高みから見下ろしてくる鋭い視線。
そこで思い出しました。カラスは記憶力がすこぶる高く、また、群れで情報を共有して語り継ぐのだという都市伝説を。
「完全にロックオンされている。」
人が聞けば笑い出しそうな話ですが当時の私はもう必死。何せ通勤する為にはカラスが関所を設けたその道を通らなければならないのです。どうやら他にも被害者が多かったようで、市役所の看板までいつの間にか立っていた始末。
子育てがとうに終わった秋になってもカラスの門番達は我々通行人を鋭く見下ろし、急降下低空飛行で威嚇してきます。野鳥や野良猫などの野生動物に体を傷つけられると破傷風など思いもよらぬ病気のもと。考えすぎだと言われようと警戒する外ありません。
そしてカラスに警戒したままふけ行く秋10月、カラスにあいさつをしながらいつもの道を歩いていると聞きなれない音が耳元からしてきました。
「かち、かちかちかちかち」
そして黄色と黒のあの生き物がこちらをうかがうようにホバリングしているではありませんか。そう、英名Killer beeことオオスズメバチ。
絶対に刺激してはいけない、怒らせてはならないという情報番組の声が脳裏に響く中、スズメバチが狙うという黒づくめの恰好を偶然にもしてしまった私は走り出したい気持ちをこらえてそっと歩き去っていくのでした。
かちかち音(警戒音)が聞こえなくなってほっと一息ついた私の目の前に現れたのは【鳥獣保護区】と大書された市のお知らせ看板。
ああ、ここってそう言えば鳥獣保護区、自然を侮ってはならないなのだな、と妙に納得しつつ怖れと畏れを抱いた半年間の出来事でした。