その男、夢に現れる
2006年1月。ニューヨークにある精神病院の女性患者は、繰り返し夢に出てくる男がいると担当医に相談をした。その男は、終始不気味な笑みを浮かべており、ある日を境に突如として現れ、何度も何度も繰り返し夢に出てくる。女性患者は、その男に会ったことがなければ、見たこともなく、気味が悪いと訴え、その男の似顔絵を描くも担当医は気に留めることはなかった。
しかし、数日後同じ病院の中の男性患者も夢に出てくる男がいて、非常に気味が悪いと担当医に訴え始めた。「もしかして…」と思った担当医は、数日前に女性患者が描いた男の似顔絵を見せたところ、「その男だ」と言った。
そして、数カ月のうちに病院内の4人の患者がこの男が夢に出てくるとの訴えがあった。患者たちが似顔絵を見た時に、「Yes,This Man!」と言うことから、この夢の男の名は「This Man」と名付けられた。
その後、公式サイトが立ち上がり、This Manに関する情報を集めていたのだが、This Manは知らず知らずのうちに活動範囲を拡げており、世界中で2,000件以上もの目撃証言が集まった。
This Manの真実
This Manの正体はいったい何なのか。
実はこの世界規模のThis Man現象、後にイタリア人マーケティング専門家であるアンドレア・ナテッラ氏によるバイラルマーケティング(※1)の一環であり、上記の精神病院の話も創作であったことが判明し、ナテッラはThis Man自体がゲリラ・マーケティングであることを認めた。
しかし、何のためのプロモーションであったのかは現在のところも不明である。
(※1)主にインターネットやメールにより、クチコミを利用して不特定多数に広まるよう仕掛けていくマーケティング手法
目的が何なのかは未だにハッキリしていないのだが、This Manの似顔絵は、印象深い顔になるように計算されたモンタージュのため、人々が見たことなくても見たように錯覚するのかの実験をしていたのかもしれないとの見解も存在する。
実際にこの公式サイトは、累計20億以上のアクセスを記録した。
このThis Man現象は、ナテッラが米軍の実験を依頼されて行った説、CIAの洗脳実験を依頼された説など様々な陰謀論が囁かれているが、真相は誰にも分からない。
実際にこの記事を書いている私もまた、This Manに翻弄され、洗脳されてしまっているのかもしれない。
もちろん、この記事を読んでいるあなたも…
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